ストレス中枢の興奮で臓器にダメージが

デジタル依存生活で「脳の疲れ」が蓄積して、睡眠が取れなくなると、朝の寝起きが悪くなり、何もやりたくない、仕事や学校に行きたくないということが起こります。当然、バイオリズムが乱れ、体調も悪くなってしまいます。それが高じて集中して作業ができなくなると仕事を休みがちになり、「ひきこもり生活」になってしまう危険もあります。

実は、この「ひきこもり生活」こそが「心の疲れ」=うつ症状や強迫性障害の状態を作り出してしまうのです。

「心の疲れ」は、脳の視床下部にある「ストレス中枢」を刺激して興奮させ、体にもストレス反応を引き起こします。

ストレス中枢の興奮は、体のストレスシステム(視床下部・下垂体・副腎経路)を介して副腎皮質を刺激して、ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌を促し、全身の臓器に悪影響を与えます。その結果、免疫機能を低下させて風邪をひきやすくしたり、肥満や高血圧、糖尿病などの、いわゆる「ストレス関連疾患」を誘発するのです。

さらに最近の研究では、「ストレス中枢」の興奮が、「覚醒中枢」の一つである「セロトニン神経」の働きを抑えてしまうことがわかりました。デジタル依存生活は、セロトニン神経が活性化しにくいライフスタイルをもたらし、自律神経失調症や慢性疼痛、うつ病の原因になるということです。

セロトニン神経の活性化で「心の疲れ」は回復する

そこで「デジタル依存の生活」→「頭の疲労」→「不眠」→「休職」→「ひきこもり生活」という生活パターンをなくすことが大事になります。

デジタルに依存したライフスタイルがセロトニン神経を知らない間に弱らせる生活となり、これらがうつ病増加の背景にあると考えられるのです。

頭が疲れていなくても、「ひきこもり生活」を続けているだけで、うつ症状やキレやすいなど、メンタルヘルスの不調を誘発してしまいます。

有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)
有田秀穂『スマホ中毒からの心のモヤモヤをなくす小さな習慣』(プレジデント社)

それが明確になったのが「コロナうつ」です。それまで何事もなく、元気に生活していた人が、新型コロナウイルス感染予防のために数週間から数カ月「ひきこもり生活」を続けていただけで、やがてうつ症状やキレやすくなる現象などの強迫性症状を発症してしまったのです。

しかし、「心の疲れ」は、きちんと対策をすれば、未病のうちに回復させることができます。その方法が「セロ活」、セロトニン神経を活性化させる生活です。本書では、その具体的な方法を詳しく解説していきます。

大切なことは、「心の疲れをこじらせない」こと、そして「セロ活」を続けること、それに尽きるのです。