脳を機能不全に陥らせるスマホ依存

現代はデジタル社会といわれます。社会人も学生も、朝、通勤や通学する途中からずっとスマホを操作。仕事や授業の合間にもスマホ、仕事や勉強が終わったら気晴らしにスマホでゲーム、インターネットやSNSで通信、入浴中やベッドの中でも……典型的な「スマホ依存」の人が少なくないのです。

しかし、スマートフォンやパソコンなどのデジタル機器を長時間、使い続けると大脳を興奮させます。それが脳の疲れをもたらして、心の疲れに結びつくのです。

しかも、大脳が興奮して夜、眠れなくなります。すると、さらにインターネットやゲームをやってしまい、寝不足で頭がすっきりしない、体調がすぐれないまま、職場や学校に向かうことになります。

こうして脳全体が機能不全に陥ると、パニック症状や強迫観念が強まってきます。やがて、うつ症状が現れてくるのです。つまりスマホやパソコン依存が「脳を破壊する」ということです。

デジタル三昧の生活は、本人がそうとは知らずに陥ってしまう悪循環です。“知らないうちに”というところに大きな問題があります。

疲れを取るためには、休息と睡眠が不可欠です。しかし、スマホの操作で使われる脳は「認知機能」で、仕事だけでなく、プライベートでダラダラと継続的にスマホを使い続けると、認知機能が疲れてしまいます。疲れてしまったら休息すればよいのですが、その疲れを回復させようと、「気晴らしに」ゲームにのめり込む。これがまったくの逆効果で、逆に頭の疲労を増加させてしまうことにつながります。

人は「いいね」を求めてスマホの虜になる

スマホに依存して使い続けてしまうのは、脳科学的な根拠があります。使用していると依存状態を引き起こす神経、つまりドーパミン神経が活性化する仕掛けが組み込まれているからです。

誰の脳にもドーパミン神経があります。ドーパミンが分泌されると、心を意欲的にし、ハッピーな気分をもたらしてくれます。このような脳内物質が、人間には備わっているわけです。

このドーパミンは「報酬系」とも呼ばれ、何か欲しいもの=報酬対象があると活性化されます。報酬のターゲットはいろいろあり、金品や恋人をゲットしたとき、優勝や合格など、心に抱かれた夢が成就されるとドーパミンの分泌が起こります。スマホに関連した「報酬」としては、ゲームでの高得点、SNSやインターネットで、人から「いいね」といった反応を受ける行為つまり「承認」などがあります。私たちの脳は、高得点や「いいね」を求めて、スマホを依存的に使い続けてしまうような性質を持っているのです。

睡眠ホルモンを減少させるブルーライト

スマホを使っているときに働く脳は認知機能ですから、仕事だけではなく、日常生活でもスマホを依存的に使い続けてしまうと、認知機能の疲労=「頭の疲労」が蓄積されてしまうのです。ここがデジタル社会の大きな「落とし穴」です。スマホとの上手な向き合い方、使い方をマスターしなければ、人間の脳疲労は積み重なっていくばかりです。

それだけではありません。スマホやパソコンの画面からのブルーライトが、睡眠ホルモンを減少させて、良好な「睡眠」を妨げてしまうのです。「デジタル社会は不眠の時代」ともいわれる理由はここにあります。

寝付きが悪い、ぐっすり眠れない、いくら寝ても寝た気がしないという人は、脳科学的に問題を抱えている可能性があることを知っておいてください。

それに伴い、「自然の中で仕事や生活をする」という意識が人々の中で芽生えてきています。「自然に帰る」という姿勢です。地球の自然をリスペクトして、自然環境を日常生活に取り戻していくという意識改革が、デジタル時代の都市生活者に必要とされているのです。