平日に「8時間以上」座っている人は3割以上
毎日のオフィスワークで、気がつけば8時間以上も椅子に座り続けている──。多くのビジネスパーソンにとって、これはもはや日常の光景です。特に管理職やキャリアアップを目指す方々は、業務量の増加とともに、座位時間がさらに長くなる傾向にあります。
厚生労働省の「国民・健康栄養調査」(2013年)によると、平日の座位時間に関して8時間以上と回答した人は男性38%、女性33%にも及ぶことがわかりました(厚生労働省, 2013)。また、世界20カ国・約5万人を対象に行った国際調査でも、日本人の平均総座位時間は世界的に見てかなり長いことが報告されています(Bauman et al., 2011)。
「仕事だから仕方ない」として受け入れがちですが、この長時間の座位には、実は深刻な健康リスクが潜んでいます。心血管疾患や糖尿病、がんのリスク上昇など、座り続けることで生じる健康被害は想像以上に深刻で、キャリアを積み重ねるビジネスパーソンにとって、パフォーマンス低下や長期的な健康問題につながりかねません。
今回は、この「座りっぱなし」が私たちの身体に与える影響と、その対策についてお伝えします。
日本人は1日の座位時間が世界最長レベル
仕事で一日中PCに向かって座り続ける現代のビジネスパーソン。実は日本人の座位時間は、国際的に見て際立って長いという特徴があります。シドニー大学の調査によると、世界20カ国の成人を対象とした平日の座位時間を比較した結果、日本人は1日420分、つまり7時間で世界最長となったのです。これは世界平均の5時間を大幅に上回る数値です(Bauman et al., 2011)。
この7時間という数字は、単純計算すると1日の活動時間(16時間とした場合)の約44%を座って過ごしていることを意味します。朝の通勤電車、オフィスでのデスクワーク、昼食、会議、そして夜の帰宅電車――気がつけば私たちは立っている時間よりも座っている時間の方が長くなっている現実があります。最近の研究では、日本人の平均座位時間は約5.3時間という結果も出ており、調査手法や対象によって若干の差はあるものの、いずれも国際的に見て非常に長い水準にあることは間違いありません(Kitayama et al., 2021)。

