インドに接近する思惑

他方でEUは、インドに急接近している。インドは14億以上の人口を抱えていることもあり、その経済規模はすでに世界5位にまで達している。出生率も2以上をキープしており、引き続き人口増が見込める有望なマーケットでもある。中国との間で様々な摩擦を抱えるEUは、代わりにインドを重視する姿勢を鮮明にしているのである。

青空の中のインドの国旗とEUの旗
写真=iStock.com/Aleksandra Aleshchenko
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例えば2024年12月に再任された欧州委員会のウルズラ・フォンデアライエン委員長は、二期目の最初の外遊先としてインドを選び、ナレンドラ・モディ首相と会談を行った。欧州委員会の経済・財政総局(ECFIN)による景気予測にもインドが取り上げられるようになり、EUのインドへの期待や関心が着実に高まっていることが窺い知れる。

この流れの中で、EUはインドとの自由貿易協定(FTA)の締結・発効を急ぐようになっている。スイスなどEU未加盟の4カ国から成る欧州自由貿易連合(EFTA)は2024年3月に、また英国は25年5月6日にそれぞれインドとFTAの締結で合意に達した一方で、EUとの協議は2007年に開始されたものの、長年にわたり停滞している。