声色を変えて演じた菅田は、アフレコ後しばらく声が出ず…

他には、眞人の死んだ母の妹であり、姉の死後すぐに勝一と関係を持ったと思われる(既に妊娠中!)夏子役の木村佳乃。これはもう第一声から、木村の顔が思い浮かぶぐらい、分かりやすい。夏子の実家は地元の名家で、山中の広大な敷地に立つ「青鷺屋敷」であり、そこに奉公している老婆たちも出てくるが、どれも女性ばかりなので、菅田将暉ではない。ということは……と消去法で、屋敷の中をわが物顔にビュンビュン飛ぶ「青サギ」がそうなのだと気づいた。

登場時は、一見普通の鳥類である青サギだが、やがてそこに中年男性のような顔がのぞくようになる。公式に「サギ男」とも表記される青サギは、奇妙な外見、不敵で挑発的な言動、しわがれたダミ声。「これ、イケメン俳優でもある菅田将暉がやる意味ある?」とも思ったが、最後まで観客に違和感を抱かせず、シェイクスピア劇の道化師のような狂言回しを演じ切った彼は、やはりすごい。