最も影響力のあるQアノンの陰謀論

現在のアメリカで流通している陰謀論の中でも、最もインパクトのある陰謀論、その内容の豊かさという点でも、また人々の意識や行動に与えた影響力の大きさという点でも最も重要な陰謀論は、Qアノンの陰謀論であろう(*1)

「Q」と名乗る匿名の人物がインターネット掲示板「4ちゃん(4chan)」に最初にメッセージを投稿したのは、第一次のトランプ政権の最初の年(2017年)の10月である。もっとも、前年12月――トランプの当選は決まっているがまだ大統領には就任していないとき――に起きた「ピザゲート事件」の犯人は、明らかにQアノンの物語に準拠しているので、この陰謀論が発生したのは、最初のトランプ政権の発足の直前――おそらくはトランプとクリントンの選挙期間中――ではなかろうか。

Qアノンの物語は、さまざまなヴァリエーションがあってひとつに定まってはいないが、おおむね次のような設定を採用している。アメリカ≒世界を支配しているのは、リベラルなエリートたちである。すなわち、リベラルな政治家や大富豪たちだ。たとえばオバマ(黒人)、ヒラリー・クリントン(女性)、そしてジョージ・ソロス(ユダヤ人)等が世界を支配している。