※本稿は、山本洋子『なぜあの人は初対面で信頼されるのか 元JAL国際線チーフパーサーだけが知っている人の心をつかむ極意』(日本能率協会マネジメントセンター)の一部を再編集したものです。
「礼儀正しすぎる」と慇懃無礼と思われる
ビジネスパーソンとして、「礼儀正しい」と評価されることは、最大の褒め言葉です。
礼儀正しさは人としての品位の表れでもありますので、そこを評価されたということは、ビジネスパーソンとして自信にもつながります。
「礼儀正しい」ということは、よい評価には違いありませんが、気を付けないといけないことがあります。
本書の前節でも述べましたが、度合いが過ぎると、ときに慇懃無礼と思われてしまうことがあるからです。
私の後輩がお客様からお叱りのコメントをもらった例をご紹介しましたが、本人は真面目に丁寧に対応しているだけなのに、その態度がお客様を見下しているように見える、無礼だと言われたらショックは相当なものです。
それが、「礼儀正しい」の大きな落とし穴です。
慇懃無礼ととられてしまう一番の要因は言葉遣いですが、所作にも顕著に表れます。
「心からのお詫び」が裏目に出ることも
例えばお辞儀です。
日本人の礼儀として、挨拶や謝罪の場面、またお礼を伝えるときには言葉と同時にお辞儀をともないます。
深いお詫びをするような場合、腰を折り深々と頭をさげることもあるのですが、ちょっとした謝罪をするようなときや親しい間柄でお詫びをするようなときに、必要以上に深々と頭をさげると慇懃無礼に映ることがあります。
本人は心からお詫びをしたいのでしょうが、それが裏目に出てしまうのです。
私は商談でホテルのラウンジをよく利用するのですが、ラウンジのスタッフにも似たようなことを感じることがあります。
何かあるたびにお辞儀をするのはよいのですが、いちいち肘を90度に曲げて手をおへその前で組み、45度に腰を曲げるお辞儀を繰り返す。
これはさすがにこちらが恐縮してしまいます。
相手に慇懃無礼と思われてしまうと、よい印象を持たれることがないばかりか、信頼も得ることができなくなってしまいます。
礼儀正しさには、よい塩梅のバランスが必要です。丁寧すぎるのも、くだけすぎるのもいけません。
では、よい塩梅の礼儀正しさはどうすれば実践できるのでしょうか?