相手によって言葉や態度を変える柔軟さ

それは、相手をよく観察し、相手によって柔軟に言葉や態度を変えることです。

お辞儀をし合う二人のビジネスマン
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同じ会話をするにしても、最初から最後まできちんとした敬語で話してほしい人もいれば、敬語で話を続けられると他人行儀に思えて窮屈に感じる人もいます。

相手を知ることは、良好な人間関係を築くうえで最も重要です。

第2章でもお話ししたように、ビジネスシーンにおいて、人間関係を円滑にし、信頼を得るためには、相手を知る感性が不可欠です。

礼儀正しくあることは大切なことですが、誰に対しても紋切り型のように礼儀正しくすることは、ときに誤解を生む原因になります。

「礼儀正しい」には、思わぬ落とし穴があること、そしてその落とし穴に落ちないよう、相手を知る目と感性を養うことが重要です。

初対面の人とお会いしたとき、相手がまだどういう人かがわからない段階で、これから一緒にビジネスを進めていいかどうかの判断基準になるのが「礼節」です。

人がよさそうには見えるけど、冷たい人かもしれません。

一見強面に見えるけど、実は誠実で優しい人かもしれません。

会話以前に、ビジネスの一次面接を突破するのは、礼節をわきまえている人です。

当然のことながら、礼節をわきまえない人は、面接を突破することはできません。

それはビジネスにおいて、相手にされないことを意味します。

「一瞬のスキ」に人となりが見える

航空会社に勤務していたとき、管理職乗務員として客室乗務員の採用面接官をしていました。

緊張の面持ちでインタビューに答える若き応募者の初々しい姿を見るたびに、自分自身の採用試験のことを思い出したものです。

幼い頃から憧れていた会社の客室乗務員になるための試験でしたから、そのときの状況は今でも鮮明に覚えています。

面接官として応募者に接する際、採用の一番の決め手になるのは客室乗務員としての適性があるかないかです。

接客業は不特定多数のお客様を相手にするサービス業です。

いくら本人が希望したとしても、適性がなければ客室乗務員にはなれません。

接客業に向いているかいないかを見極めるときに大きなポイントになるのは、接客に相応しい礼儀正しさがあるかどうかです。

例えば、入室時の態度です。

グループ面接においては、4〜5人の応募者が一緒にインタビューを受けるのですが、他の応募者とのやりとりやグループの中での振る舞い方などを細かく観察します。

一瞬のスキに人となりが見えるからです。