政治家には、三つのお金の通り道がある
政治家が得ているお金の流れは、非常に複雑です。そのため、政治家当人も、収入・支出といったすべてのお金の流れを逐一チェックできているわけではありません。
「政治とカネ」の問題が繰り返されるのは、政治家がお金に対して貪欲だったり、無頓着だったりという理由もあるでしょうが、そもそもお金の流れが複雑で把握できていない面もあるでしょう。だからといって、使途不明金、杜撰な会計処理・報告が許されるわけではありません。
なぜなら、国会議員に入るお金には、私たちが納めている税金が原資になっているものが多いからです。
国会議員には、大別してお金を得る道が三つあります。一つ目は、議員が個人として受け取るもの。二つ目は、所属する政党の政党支部を管理しているもの(支部長)として受け取るもの。三つ目は、政治家個人の資金管理団体などの政治団体として受け取るもの。
詳しくは後述しますが、二つ目と三つ目は、一つ目と区別されるお金ということを覚えておいてください。ここから先は、政治家個人が受け取るお金なのか、政党支部や資金管理団体として受け取るお金なのかで、大きく変わってきます。
国会議員の給与明細――2000万円を超える歳費の内訳
国会議員も、一般的なサラリーマンの月給に相当する歳費と呼ばれる給与が支払われています。これは政治家個人が受け取るお金です。歳費は「国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律」(歳費法)に定められています。
2024年9月現在、同法では、衆議院・参議院どちらも月額129万4000円が支給されることになっています。日給(ひと月30日換算)にすると4万3133円。年収にすると、1552万8000円です。ちなみに、税金などはかかりますから、それを引いたぶんが手取りとなります。
国会議員、とくに衆議院は解散によって月の途中で失職することもあります。2010年以前は歳費を月単位で支給していました。たとえば、1月1日に議員として在職していれば、その日に辞職してもひと月分の歳費が満額支給されていたのです。
そのため、過去には、不祥事を起こして辞任必至に追い込まれた議員は、月が変わるタイミングで辞職を願い出るケースもありました。こうした議員の態度は、歳費欲しさに時間稼ぎをしたと受け取られることも多く、国民から批判の声が向けられることも珍しくありません。時代遅れの法体系との指摘を受け、2010年12月に議員歳費を日割り支給に変更する改正が行われました。
ちなみに、この改正によって、“珍事”が起きたこともあります。2019年に実施された参議院議員選挙で立憲民主党の比例区に立候補した市井紗耶香氏は、一歩及ばず、次点で落選しました。その後も彼女は参議院議員への挑戦を表明していましたが、2022年にいったん政治活動から距離を置くことを宣言しています。