なぜ投稿を残し続けているのか

(中略)

【堀】最後に質問ですが、こうした経験を経て、くろんさんができること、言えることとは何だと思いますか?

【くろん】現状で言えば、生成AIで悪いことをしたという事実が記録として残ることが、一番有効だと思っています。

【堀】どうしてそう思うのですか?

【くろん】私は専門家ではないので、卓越した知識で警鐘を鳴らすようなことはできません。これ以上、無理に目立つよりも、今のままで記録として残しておくことで、これ以上、悪影響を与えないようにした方が良いというのが私の考えです。

堀潤『災害とデマ』(集英社インターナショナル)
堀潤『災害とデマ』(集英社インターナショナル)

【堀】なるほど。だから、Xのアカウントの最上部に投稿を固定して、事例として後世に残してほしいと思っているのですね。

【くろん】はい。

【堀】国は国家安全保障戦略や防衛力整備計画の中で、自衛隊の情報戦や認知戦への対策強化を盛り込んでいますが、国がやるべきことは何だと思いますか?

【くろん】デマに対しては、反論や反証となる情報を逐一発信することが重要だと思います。

デマが流れること自体は避けられませんが、それをひとつひとつ徹底的に潰していくことが国のためになると思います。日頃から正しい情報を発信し、国の信頼を高めることが大切です。そのベースがあれば、反証も効果的になると考えています。

(後略)

これが男性との約1時間にわたる対話の記録の一部です。本書での結論に近い話をしくもデマ拡散の当事者が語っていました。

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