天皇ご一家の「心のバトンリレー」
この中学3年生のときの広島への修学旅行の感想文「世界の平和を願って」では、平和の原点として「感謝と思いやり」の大切さが強調されていた。それは振り返ると、天皇陛下がご教育にあたって心がけてこられた「人に対する思いやりの心」(平成21年[2009年])や「周囲への感謝の気持ちや配慮」(平成26年[2014年])を、敬宮殿下がご自身で深められ、また内面化された結果にほかならないだろう。
この年から、皇后陛下は敬宮殿下の“気づき”を後押しすべく、ご自身のお誕生日に際してのご感想の中で、「感謝と思いやりの気持ち」を大切にしてほしいという思いを、繰り返し述べておられた(平成29年[2017年]・同30年[2018年]・令和元年[2019年])。
さらにその後は、天皇陛下が今年にいたるまで毎年、「感謝」と「思いやり」の大切さを強調してこられている(令和2年[2020年]〜7年[2025年])。
これにこたえて、敬宮殿下もご成年にあたってのご感想の中で、以下のように述べておられた(令和3年[2021年])。
両陛下の教えを真正面から受け止めておられることが分かる。天皇ご一家の美しい「心のバトンリレー」を拝見しているような気がする。
人々の共感と感動を呼んだ敬宮殿下のご成年に際しての輝くような記者会見や、大学を卒業されてからの笑顔の連鎖を生み出されるお姿の背後には、ここでその一端を振り返ったような、両陛下による愛情にあふれたご成育、ご教育環境があった。
秋篠宮さま、「帝王学」の質問はスルー
では、秋篠宮家はどうか。秋篠宮家の場合は、天皇ご一家とは少し違った印象を受ける。「皇族らしさ」をあまり前面に出さない教育を心がけてこられたようだ。
悠仁殿下についても、今の欠陥を抱えた皇位継承ルールのもとで継承順位が第3位(平成時代)とか第2位(令和になってから)という位置づけを、既定の事実として固定化する姿勢はあえて避けてこられた気配がある。
たとえば平成20年(2008年)、悠仁殿下が2歳の当時、秋篠宮殿下が記者から「帝王学」について問われた場面では、こんな答え方をされていた。
ここで、「帝王学」を持ち出しての質問に対して、今のルールのもとでは皇位継承資格を持たない「娘たち」「2人の娘」と「同じ」期待を寄せることを、繰り返し強調しておられたのが目をひく。