ですから、どんなに小さな組織であっても、リーダーたるものは常にメンバーの個性を把握しておかなければいけません。何が得手で何が苦手か、何を言われると喜ぶかということを、漠然とでいいから日ごろから注意深く見ておくのです。そうしないと、いざ仕事を任せるときに「理由」が出てこなくて困るでしょう。
外部へ仕事を発注するときも同じです。単に「おたくは料金が安いから」だけでなく、「仕事が丁寧で安心できる」と一言添えれば、相手は意気に感じて頑張ってくれるでしょう。人は誰でも「頼りにされる」ことが好きなのです。
経験の浅い部下に仕事を任せるときは、寄り添うようなアドバイスや指導が必要です。私の場合は、仕事を任せるとき、まず最終的な到達地点を具体的にイメージできるよう説明し、納期を定めてスタートダッシュをかけ、次に中間地点で状況把握をするようにしています。腰の重い社員もいますから、中間地点に達しても、ほとんどできていないということもままあります。
そのときには、叱るのではなく「できない理由」を解きほぐして、ゴールまで伴走するように心がけます。できない理由は技量不足のこともあれば、優先順位のつけ方に問題があることも。近ごろ目立つのは、完璧な仕上げを目指すあまり、堂々巡りをしているというケースです。
こういう完璧主義の部下には「100%の出来で持ってこなくてもいいからね」と言うことにしています。プレッシャーを取り除き、気軽にやってもらったほうがうまくいくからです。内心では「7割の完成度でいい」と思っています。
就職難のいま、正社員採用をされるような人は、多くが真面目で優秀です。だからこそ完璧主義に陥り、煮詰まってしまうのですが、緊張を解いてあげると見違えるように実力を発揮します。