急な聴力低下、めまい、吐き気がある場合はすぐ受診

ヘッドホン難聴以外にもさまざまなタイプの難聴があり、徐々に進行するものもあれば、突然発症するものもあります。以下のような症状が1週間以上続く、悪化する、または日常生活に支障をきたす場合は、早めの受診をおすすめします。

チェックリスト:気になる症状はありませんか?
・会話が聞き取りにくい、音がこもって聞こえる
・耳鳴りが続く(キーン、ジーといった音がする)
・耳が詰まったような違和感や圧迫感がある
・耳の痛みがある
・めまいや吐き気を伴う
・突然、片耳または両耳の聞こえが悪くなる

急な聴力低下やめまい、吐き気を伴う場合は、できるだけ早く医療機関を受診することが重要です。

ヘッドホン難聴を防ぐためにできること

1.音量を適切に設定する:音量制限や監視機能のついたスマートフォン・ヘッドホンを使用したり、音量を確認できるアプリを使用し、平均80dB(走行中の電車内くらいの音量)未満になるように音量を抑えましょう。

2.使用時間を制限する:WHOの推奨する目安は、大人は80dB以下で1週間に最大40時間、1日にすると約5時間半です。長時間の使用は内耳への負担を増やすため、連続使用する場合は1時間ごとに10分程度の休憩をとりましょう。

3.ノイズキャンセリング機能を活用する:周囲の雑音が低減するため、音量を下げることにつながります。

街でイヤフォンをした男性
写真=iStock.com/west
※写真はイメージです

4.定期的に聴力検査を受ける:年1回の健康診断で聴力検査を受け、異常が指摘された場合は放置せず、耳鼻科を受診しましょう。

5.セルフチェックを活用する:自身の聴力を定期的に確認するために、難聴障害度質問票(HHIE-S)などのチェックリストを活用し、聴力の変化に気を配ることが大切です。

難聴障害度質問票(短縮版)HHIE-S:「はい」、「時々」、「いいえ」で回答します。

E1 初対面の方と話すとき聞こえないことによって困ったことはありますか?
E2 ご家族との会話で聞こえないことによってストレスを感じますか?
S3 小さな声で話しかけられたときに困ることがありますか?
E4 聞こえないことによって不利益を受けることがありますか?
S5 ご友人や親類、近所の方と話していて聞き取れず困ったことがありますか?
S6 よく聞き取れないために集合や会合に出ることをためらうことはありますか?
E7 聞こえないことについてご家族と話をすることはありますか?
S8 テレビやラジオの音が聞こえにくいことはありますか?
E9 聞こえないことでやりたいことが十分にできないと感じたことはありますか?
S10 レストランや食堂で知人の話がよく聞き取れないと感じることはありますか?

「はい」を4点、「時々」を2点、「いいえ」を0点として、合計点数を算出します。

○総得点が10点以上:軽・中度の難聴の可能性があります。
○総得点が24点以上:重度の難聴の可能性があります。

10点以上の場合、耳鼻科の診察、聴力検査をお勧めします。

※参考資料
・厚生労働省「ヘッドホン・イヤホンの使用に関する注意点」e-健康づくりネット
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「ヘッドホン・イヤホン難聴予防サイト
・世界保健機関(WHO)、国際電気通信連合(ITU)「安全なリスニングデバイスとシステムに関するWHO-ITU国際基準
・NHKきょうの健康「加齢性難聴 最新技術でここまで改善『聞こえをセルフチェック!』