家業を継ぐことは考えていなかった

周囲を山と森に囲まれた日高村周辺は明治時代から和紙の生産で栄えた。地域で作られる土佐和紙は当時からその薄さが特徴で、岐阜県の美濃和紙などと並び、日本三大和紙のひとつに数えられる。

ひだか和紙の歴史は、1949年に日高村周辺の紙漉き職人10人が集まり「輸出典惧帖紙協同組合」を創業したことに遡る。1969年にはオリジナルの抄紙機しょうしき(紙を漉く機械)を開発して機械化を実現。丁寧な下処理を施すことで質の高い和紙を大量生産できる体制を整え、規模を拡大していった。