“アンカーの位置”がネガティブに働くことがある

こうした「アンカリング効果」は、ときに人生に大きな影響を及ぼします。例えば、世間的に一流とされる学校出身の親は、自らがアンカーとなり、自分の子どもも同じレベルの学校に合格するのが当然と考えて行動しがちです。

子どもはそれほど勉強が好きでなかったりするのに、塾に入れて無理に競争をさせたり、本人が望む進路を否定して高学歴路線に引き寄せようと説得する親もいるかもしれません。そのことが子どものストレスやプレッシャーにつながり、精神的に追い詰めてしまう可能性も考えられます。

上司が、自分よりも10歳も20歳も後輩の新入社員に、自分自身が新入社員だったころの基準や目標を強いるのも同じような現象です。当時と今では時代も状況もまったく違うはずなのに、自らの体験にアンカーを下ろしてしまっているために、「私が若いころは……」などと昔の価値観にこだわり、誤った指導をしてしまうこともあります。