思いも寄らないところに解決の糸口が
現状分析を行って課題を設定した後、真因追求では、「なぜ?」を繰り返すことによって、根本的な「真因」を突き止めていきます。ここでは、「移動に時間がかかるスポットのときに、ブリーフィングの時間に影響が出るのはなぜなのか」という課題に対して、「それはなぜか」を重ねていきました。
Q.スポットが遠い →(それはなぜ?)
Q.客室センターでブリーフィングを実施している →(それはなぜ?)
このように真因追求をしていくと、CAの中に「客室センター内でブリーフィングをしなければならない」という固定観念があることが見えてきました。
羽田空港ではずっと、ブリーフィングは客室センターで行われていました。ブリーフィングを行ったあと、それぞれのCAが自分の荷物を手に取って、搭乗する飛行機に移動していました。それが当たり前のことだったので、誰も疑問に思わなかったのです。
航空業界やCAが働く環境は大きく変化していますが、ブリーフィングのやり方は昔のまま変わっていませんでした。真因追求を進めたことで、思いも寄らないところに解決の糸口があることが見えてきたのです。
「効果」「スピード」「実現性」から機内に出退社することに
真因追求ができたら、あとは解決策を立案して実行に移すだけです。客室センターでは解決策として、いくつかの案を出し、その中から効果的だと思われる解決策を絞りこんでいきました。
「客室センターでブリーフィングをしなければならない」という先入観に対して出てきた解決策としては、次のようなものがありました。実際にはもっと多くの案が出たようですが、今回は抜粋して4つを載せます。
・手荷物検査場の手前を出社場所にする
・チーフパーサーがその都度、出社場所を決める
・機内に出退社する(ダイレクトシップ)
客室センターでは、「効果」「スピード」「実現性」という3つの視点から、それぞれの案を評価しました。
皆さんなら、この4つの案の中でどの案を採用しますか? CAたちが選んだのは「機内に出退社する(ダイレクトシップ)」でした。「効果」「スピード」「実現性」という3つの視点から評価したときに、ダイレクトシップが最も評価が高かったのです。そこで、羽田空港に出社したらそのまま搭乗する飛行機に直行し、そこでブリーフィングを行うという運用を開始しました。