スラックティビズム(slacktivism)とは、「怠け者(slacker)」と「社会運動(activism)」の合成語で、「コストをかけずに気軽に行われる」「社会的な効果がない」運動・社会活動を、批判するために用いられる。
批評家の荻上チキ氏は、「たとえばワンクリック募金などがその最たる例だが、『簡単な行動をちょっとずつ行う』ことがネットで受け入れられる社会運動の特徴」と指摘する。「善意」がスラックティビズムになるか否かは、運動の設計如何で決まるという。
近年の社会運動は女性や同性愛者などアイデンティティの解放を求めるものが多く見られたが、最近では他の様々なパフォーマンスを伴ったデモが行われるなど、気軽に参加でき、楽しめるものが増えている。
法政大学社会学部准教授の仁平典宏氏は「気軽に行う運動や社会活動はこれまでもあり、今回の現象が特別新しいわけではない」と話す。1970年代後半に永六輔が「チョボラ連(チョッとボランティアでもやってみるか市民連合)」という運動を開始して、気軽なボランティア活動を奨励したことなどがその一例だ。今回はソーシャルメディアが関係したため新しい現象に見え、同時にスラックティビズム批判を生んだと仁平氏は指摘する。
「そもそも1789年のフランス革命に参加した多くの大衆も、歴史的意義や崇高な理想など考えず、日頃の鬱憤晴らしやお祭り気分で参加していた」(仁平氏)という。揶揄するのは簡単だが、行動しなければ何も変わらないことを忘れてはならない。
(PANA=写真)