骨粗鬆症の研究者として、知ってもらいたい事実

私が骨の研究をするようになったきっかけは、東京大学医学部を卒業した後、医学部附属病院第三内科に研究生として入局して3年目に、教授から「カルシウム代謝の研究をするように」という命を受けたことだった。当時の日本では、カルシウム代謝の研究をしている人はほとんどおらず、全く未開拓の分野だった。私の人生は常に新しいことへの挑戦の連続であるが、よくよく考えてみると、これが第一の挑戦だった。

その後、老年病学教室に入ってからもカルシウム代謝の研究は続けた。それがウナギカルシトニンの存在の確認と、骨粗鬆症治療薬の開発につながり、1993年に製造承認を取得することとなった。

しかし、そもそも1985年ごろまでは、骨粗鬆症という病気はほとんど知られておらず、その当時は「年をとれば腰が曲がるのは仕方ない」と考えられていたのだ。私は、骨粗鬆症が女性ホルモンの欠乏やカルシウム不足などが原因で起こる高齢者特有の病気であること、治療によって骨折を予防することが高齢者のQOL(生活の質)を高めるために重要であることを、世に広く知らしめたいという思いを強くした。