適正な価格形成をする市場がないコメ

図表1で「政府買入価格」とは、食糧管理制度(1995年廃止)によって政府が農家から農協を通じて買い入れる際の価格(最高値は95年の2万0976円)、「自主流通米」とは、政府を通さないで農協が卸売業者に販売するもので、政府米よりも品質の良い米(したがって政府米の価格よりも高い)である。コシヒカリなどの良質米はほとんど自主流通米として流通した。その価格は、「全国米穀取引・価格形成センター」で値決めされたものである。

2005年、全農秋田県本部により、このセンターを利用して子会社である販売業者との間で架空取引を行い、米価を高く操作した事件が起きた。その後、JA農協は同センターを利用するのをやめ、コメの高い集荷力を利用して米価に影響力を行使するため、卸売業者との相対取引に移行した。このため、同センターの利用は激減し、2011年3月廃止された。しかし、同センターに関する規定は、今でも食糧法(「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律」)に残っている(第18条から28条)。

農家にとってはリスクヘッジの機能を持つ先物市場も、2005年から商品取引所により創設の要請が行われてきたにもかかわらず、価格操作ができなくなるJA農協の反対により実現せず、24年8月になってコメ指数先物に限り認められることになった。特定の産地銘柄の先物取引は認められていない。野菜や果物については、卸売市場で公正な価格形成が行われる。しかし、主食のコメについては公正で適正な価格形成を行う市場は存在しない。