「自分さえ我慢すれば丸く収まる」と言い聞かせたが

「あたしが何を怒っているかわかる?」

定期的に妻から無視された。その無視の2週間後に、必ずこの言葉から始まるメールが送られてくる。そのたびに激しい動悸に見舞われたが、それでも「自分のどこがいけなかったのか」と懸命に考えて過ごした2週間、その答え合わせが妻からメール文面で送られてくるからだ。

その答えのほとんどが「アタシへの感謝が足りない。気持ちを分かっていない」といった内容だった。その言葉は、その晩、帰宅後の夜中までつづく説教のプロローグを意味する。高林さんが帰宅恐怖症という言葉を知ったのはちょうどその頃だ。