慣れない取材に、俯きがちに話す沢さん。鮮やかな青のセーターに大きなペンダント。清楚でお洒落なOL、といった雰囲気だ。ケチな人にありがちな、なんとなくガツガツした印象は微塵もない。

沢さんは極端な節約に邁進したりするタイプではない。ただ、ブランドにはまったく興味がなく、同僚のように毎月洋服を買ったりしないだけである。

「職場ではトレーナーなので、外出用の服が少しあれば十分なんです」

昼食は病院で給食がある。1人分の朝食と夕食を作るだけだから月に1万5000円ですむ。飲み会にも参加して、食費は合わせて月2万円だ。

しかし、節約一辺倒ではなく、好きなことにはお金を使う。化粧品は有名ブランドで揃えているし、週に1回、スポーツジムにも通っている。

「家計簿は就職してからずっと付けています」

沢さんには、自然にお金が貯まる習慣が身についているようだ。それは、いったいいつ覚えたのだろうか?

「自営業で苦労していた両親を見て“お金は大事だな、ちゃんと手に職を持とう”って思ったんです。高校生のときに、将来性があるのは医療と福祉の分野だって考えました。それで、専門学校に進学して資格をとったんです」

周囲にそんなことを考えている同級生は1人もいなかったという。それはそうだろう。

勤務する病院の始業は朝8時半。だが、沢さんは1時間前には病院に行く。

「この仕事を選んで本当によかった、と思います。ずっと続けられることもありますが、私は患者さんと向き合うこの仕事が大好きなんです」

まさに「草食系節約女子」とでもいおうか。自然にキャリアもお金も積み上がっていくタイプだ。