あまりにも楽観的な発言だが、リストラにあったら? 妻が働けなくなったら? 大病を患ったら? という不安はないのだろうか。

実は、そんな堀井さんも虎の子の財産を持っている。これまで勤めた会社の自社株とストックオプション(株式をあらかじめ決まった価格で買い取る権利)だ。現在の価値は総額で1000万円ほどあるという。「お金はいつでもあるもの」という幻想の中で浪費していたバブル世代と比べて、あくまで自分の中では計画性を持ってお金とつきあっているように思える。

「僕の老後って、いっぱいお金を持っているか、のたれ死んでいるか、どちらかでしょうね」

堀井さんはそう言って、屈託なく笑った。

草食系節約女子は積み立てで貯金


沢 スミレさん(仮名・29歳)

そんな堀井さんと正反対ともいえる金銭感覚を持つのが、少し下の世代の沢スミレさん(29歳)。首都圏郊外の病院で、作業療法士として働いている。1人暮らしで手取り年収は300万円台だが、貯金はもうすぐ1000万円に届きそうだ。

「貯金は先取り貯蓄だけです。毎月の積み立ては定期預金に3万円、投資信託に2万円。このほか6月と12月に10万円ずつ貯めています」

最初は毎月、ゆうちょ銀行に預けていた。書店でマネー雑誌を見て、ネット銀行の自動積み立て定期預金と投信積み立てに替えたという。

「就職したとき、社会人として貯金がないと恥ずかしい、って思ったんです。周りの人も同じように貯金しているものだと思っていました」