共通点や類似性をつくり出す

このシーンでも、ダンスをやっていると伝えた後で、相手から「そうなんだ……おれはちがうけど」とか「あんまりくわしくないけど」というような返信がくるより、「おれも!」という返信のほうが印象はいいはずです。それは、自分といっしょであることにホッとしたり、話をわかってくれるうれしさを感じたりするからでしょう。

ここでは、そもそもゲームという共通の趣味があり、ダンスが好きという態度が相手と類似していたわけですが、こういった相手との共通点や類似性をつくり出すという手口は、性的グルーミングのやりとりでも典型的です。

たとえば出身地が同じとか同い年、というようなこともそうです。共通点、類似性がある相手には親近感を覚えやすく、良くも悪くも、見知らぬ相手でも関係性を築きやすくしてしまうのです。

手なずけに気づくヒント

同じ趣味を持っている人との会話は楽しいですよね。趣味の話で盛り上がるのは、もちろん悪くないことです。でも、そのことを足がかりに、このシーンのように、あなたの画像や動画を送ってほしいなどとこちらにリスクのある要求をしてきたら、いったん冷静になりましょう。安易に送信するのは危険です。

2人のサッカー選手
写真=iStock.com/matimix
※写真はイメージです

「教えてあげるよ」

加害者:お前のサッカー、けり方をもう少し変えたらうまくいくと思う。

子ども:どんなふうにですか?

加害者:おれ、もともとミッドフィルダーだったからさ。

子ども:くわしく教えてほしい!

加害者:今度、お前だけに教えてあげるよ

子どもならではの弱みを利用する

子どもが性被害にあう場合、子どもならではの弱みを利用されている場合が多くあると感じます。たとえば、されている行為の意味がわからないこと、自分が何か悪いことをしてしまったと思って言えないこと、だれにも言わないという言いつけをしっかりと守ってしまうこと、だれかから大切にされたいという思いをもっていること、などなどです。

また、子どもはもともと立場が弱く、社会的に優位な立場を利用される、ということも挙げられます。