消費税の増税、財政赤字の拡大など、ますます閉塞感が強まる日本経済。これから私たちの生活環境はどのように変わっていくのか――。
現代のような激動の時代に将来を予測することはとても難しい。まして、30年後は未知の世界だ。しかし、P・F・ドラッカーは自著『すでに起こった未来』のなかで「結果のなかに見出されるものは、すでに原因のなかに芽生えている」と指摘している。そうであるならば、いま日本と世界が直面している課題から未来が見えてくるはずだ。
では、これからの日本および世界の経済的、社会的、技術的な動きを占ううえでの課題が何かというと、(1)少子高齢化、(2)環境・エネルギー問題、(3)グローバル化――の3つに集約されるだろう。
そして、急ピッチでグローバル化が進む日本、世界経済を俯瞰すると、「アジアの世紀」というキーワードが浮かび上がってくる。中国13億人、インド12億人、そしてASEAN10カ国でも6億人と、これらの地域だけで世界人口の約4割を占めている。巨大な人口を抱えることで経済成長のポテンシャルは自ずと高まる。
「この3つの地域が『中進国の罠』に陥らず、中国・インドが年5~6%で伸びていけば、世界の経済地図を塗り替えるだろう。30年後には、アジアのGDP(国内総生産)が世界の半分を占めることも十分にありうる」と三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員の武田洋子さんは話す。“財政の崖”に直面した世界一の経済大国のアメリカについてだが、武田さんは悲観はしていない。シェールガスの採掘が可能になったことでアメリカは2020年までにエネルギーの自給自足を果たし、経済基盤を強固なものにする可能性が高いからだ。仮にGDP規模で中国に抜かれたとしても、基軸通貨を持つ強みも相まって世界をリードし続けていくと見ている。