企業の退職金は減少傾向

続いて収入についてみていきます。自分がいつ会社を辞めるといくらの退職金がもらえるのかは、会社の人事に確認を。企業の退職金は減少傾向にあり制度の見直しも進んでいるので、「先輩からうっすら聞いていた話と違う!」「こんなはずじゃなかった」ということがないように、ぬかりなくリサーチをしてください。

次に自分がいくらの公的年金をもらえるのかを確認します。会社員だった人が受給できる年金は、「老齢厚生年金」と「老齢基礎年金」(国民年金にあたる部分)の2階建てになっています。「老齢厚生年金」の額は、これまで納めてきた保険料と納付期間によって決まるため、人それぞれです。例えば、保険料は給与に一定の料率をかけて決まるので、給与が高かった人ほど高額の保険料を納めていて受け取れる年金額も多くなります。

また受給開始時期については、2000年の法改正で、60歳から65歳に引き上げられています。ただし経過措置があり、1966年4月1日以前生まれの女性の場合は、「老齢厚生年金」部分を少し早く受け取れることになっています。なかなか複雑ですが、自分がいつからいくらの年金を受け取れるかは、日本年金機構の「ねんきんネット」を見ればすぐにわかります。登録の手間はかかりますが、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を待つこともなく、いつでもチェックできるのでお勧めです。

コインの入った瓶
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共働き夫婦の年金は月27万円、75歳受給開始なら1.84倍に

受け取れる年金は人それぞれといいつつ、平均値を紹介しましょう。65歳以上の厚生年金受給権利者の平均受給月額は、女性10万9165円、男性16万7388円(厚生労働省「厚生年金保険・国民年金事業年報」2023年)です。残念ながら男女で大きな差がありますが、これは男女の賃金格差と就労期間の違いによるものです。こんなところにも大きな男女差があるのかとちょっとショックですが、目をつぶって話を前に進めます。このデータから夫婦ともに厚生年金に加入していた場合の1世帯当たりの受給額は、男女の合計額である月27万6553円という計算になります。

また前述の通り年金は原則として65歳から受給できますが、60~75歳の間で受給開始時期を選ぶことができ、開始時期を遅らせれば遅らせるほど、もらえる金額が増えていきます。「ねんきんネット」では、いつからもらえば受給額がいくらになるのかもシミュレーションできます。

例えば75歳まで受給開始を遅らせれば、65歳時の1.84倍の年金を受け取れます。65歳で受給開始した場合10万9165円だった人が、10年待てば20万863円になり、この金額が亡くなるまで続きます。「ねんきんネット」では、100歳までの総受給額の比較もでき、その違いにちょっと驚くはず。もちろん早く死んでしまったらもらい損ねることになりますが、あくまで年金は「保険」。早く亡くなるリスクに備えるか、長く生きるリスクに備えるかは考え方次第です。

その他に個人年金や投資による収益などがあれば足していきます。こうすることで、すでに確保できている収入がいくらなのかがわかります。