「AKBなんて邪道」と言い切る彼が今はまっているのは“懐アイ”。かつての子役やマイナーなアイドルで、現在40に近い女性たちが、松田聖子や石川秀美のヒットソングを舞台で歌い、盛り上がる。同世代の男性が押し寄せ、すぐに立ち見になる盛況ぶりだそうだ。
合コンは年2~3回は参加するが、おおかた2度目に会えばそれで終わり。
「3度目のない男」と化している。職場恋愛は難しい。ヘタに手を出したらセクハラだし、今は高学歴で優秀な子が多く、怖くて声をかけられない。
かくして彼の年収は心おきなくアイドルに費やされるのだ。しかし、同好会仲間も半数以上は既婚者。新婚早々、長大なカメラのセットを発見した妻に「これ、何?」と聞かれて、とっさに「バードウオッチング」と切り抜けた猛者もいる。1夜漬けで勉強して、実際に妻を山に連れていったという。
「そこまでする根性はない。気合が足りないんですね、俺」――わかっている。でも、変えられない。彼の心のバリバリに硬い鎧が、結婚を遠ざける。
既婚率は年収とほぼ比例するとはいえ、女性が最終的に結婚を選ぶ決め手は「経済力」ではない。「性格」「恋愛感情」が上位にくる(図)。結局、「なりふりかまわず人を好きになる力」が結婚を左右するのだ。そのためには「愛は奪うものでなく与えるもの」であることをぜひ知ってほしい。
結婚できない男たちは、「女性に何かを奪われること」を極度に警戒しているように見える。奪われるものはお金かもしれないし、なけなしのプライドかもしれない。惜しみなく「与える」ことができる男に、運命のウエディングベルは鳴るのだ。
(浮田輝雄、小原孝博=撮影)