65〜74歳を「准高齢者」、75歳以上を「高齢者」と定義

このように75歳を境に身体機能の低下の仕方や病気のリスクは大きく変わる。それは、75歳を境に老化が急加速で進むということでもある。このことは、日本老年学会・日本老年医学会が提唱した65〜74歳を「准高齢者」、75歳以上を「高齢者」と定義するという概念の根拠の一つにもなり得ることだろう。

もともと、なぜ65歳以上を高齢者の基準としたのか。それは、100年以上も前に、ドイツ帝国で国民に年金を支給する制度を作るにあたり、同国の宰相ビスマルクが、それ以上長生きして年金を受給する者はほとんどいないはずだと考え、65歳という年齢を設定したのが始まりだという。当時は、65歳以上まで生きる人のほうが少なかったのだ。100年ののち、その同じ年齢が「高齢者」の基準にも満たなくなる社会が訪れることになるとは、ビスマルクも想像していなかったのではないだろうか。