夫婦の間には「絶対言ってはいけない一言」がある。言ったら最後、関係にヒビが入り、最悪の場合は離婚に至る。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「例えば、『家事とか手伝うから』は妻を怒らせる代表的な地雷ですが、『今日は飲み会になった』に続く夫が言いがちなフレーズも危ない」という――。

※本稿は、岡野あつこ『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか? 夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社プラスα新書)の一部を再編集したものです。

女性と男性のシルエット
写真=iStock.com/Motortion
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絶対に言ってはいけない一言

夫に言われて妻が思わず怒ってしまう代表的なフレーズとして、「家事とか手伝うから」があります。

夫のほうとしてはよかれと思って言っているのですが、女性が予想外に怒りはじめてしまい、ショックを受けてしまうこともあるようです。

「男性は外で仕事、女性は家事」という役割分担が暗黙に決まっていたのは昔の話です。女性の社会進出が進み、いまや共働きが当たり前。これまで専業主婦が担っていた「家事」「育児」を男性も分担するのはもはや当然、と受け止めている女性は多いことでしょう。

だから家事はお互いが負担すべきものなのに、それを「手伝う」と言うと、強い違和感があるわけです。「家事のメイン担当は女性側」という古臭い家父長的な考え方が透けて見えるのです。そもそも「手伝う」という言い方に、「上から目線」な態度を感じる人もいるでしょう。

働いている女性にとって、家に帰ってきてさらに家事をやるのは大変です。その上、子育てもやるとなると本当に重労働だと思います。

それを手伝うと言う夫の気持ちは大事なのですが、言い方に気をつけないと、相手の感情を逆なでしてしまうわけです。

ただ、感じ方は人それぞれという面もあります。ある程度以上の年齢の方だと、「家事は女性の仕事」という暗黙の了解を受け止めていて、夫に「手伝う」と言われれば普通に嬉しく思う人もいます。

逆に、男性に家事を手伝うと言われても、「自分のテリトリーに口出しされる」と感じてバッサリ断る人さえいます。そういう世代の感じ方を、いまの時代の主流のジェンダー意識を振りかざして批判するのはあまり生産的ではないと感じます。

妻に言われて夫がカチンとくる言葉もあります。「男のくせに稼ぎが少ない」などと言われていい気はしないでしょう。

そもそも家事の分担については、一緒に暮らす前からよく話し合っておくほうがいいでしょう。家事が苦手な人もいますし、「料理はできるけど、片付けは苦手」といった人もいますから。

「料理も洗濯も二人でやる」というよりも、それぞれが得意な作業を担当し、苦手な分野はパートナーにやってもらう、という「分担」で解決することも多いと思います。経済的に余裕があれば家事代行を頼んだりもできるので、二人で正直に話し合えば解決策はいろいろとあるものです。