離婚理由で多いのは「価値観の不一致」。夫婦問題研究家の岡野あつこさんは「食事の好みや作り方の相違によって関係に溝が入ると、『もう自分のことを愛していない証拠』と捉え、相手を許すことができずに別れるケースも少なくない」という――。

※本稿は、岡野あつこ『なぜ「妻の一言」はカチンとくるのか? 夫婦関係を改善する「伝え方」教室』(講談社+α新書)の一部を再編集したものです。

「アジフライが食べたい」で不倫した夫

夫婦の価値観の違いは食事の好みにもあらわれます。好きなメニューを自宅で食べられなければ、それはストレスになってしまうでしょう。

実際、私のところに相談に来た中で、アジフライが食べたいのに、妻がつくってくれないので不倫してしまった、という男性もいました。相談者の男性は四〇代。五歳年下で専業主婦の妻は、小学生の息子のことにしか興味がないそうです。

皿に盛られたさまざまな揚げ物のイラスト
イラスト=iStock.com/yurumarukko
※イラストはイメージです

食卓に並ぶのは、息子の好物のハンバーグやオムライスばかり。夫の好物はアジフライなのに、揚げ物は片付けが面倒だと言って、家ではつくってくれないのだそうです。

夫はそんな妻に不満を感じていました。ちょうど同じ職場に少し年上の女性がいて、仕事の相談がてら妻の愚痴をこぼしているうちに、不倫関係になってしまったとか。

夫は、妻がアジフライをつくってくれないのは、もう自分のことを愛していない証拠のように感じていたのです。

四〇代はこういう問題が起きやすく、夫婦関係にとって危険な時期です。二〇代で結婚したならそろそろ結婚二〇年です。三〇代ならまだラブラブな雰囲気も残っていたりしますが、四〇を過ぎると子育ての共同作業は一段落して、だいたいの妻の関心は子どもの進路のことばかりで、夫婦関係はどうしても冷え込んできます。

一方、四〇代になると夫の(妻もかもしれませんが)仕事の責任が増え、出世したり給料が増えてくるもの。だから「仕事では評価されているのに、なぜ家庭では逆なのか……」と承認欲求をこじらせて悩んでしまう人も多いのです。