生成AIは日本人の仕事に影響を与えるのか。経営コンサルタントの鈴木貴博さんは「この先、生成AIを活用した仕事のスピードが標準になる。その結果、生成AIを使いこなして生産性を上げられる“いきいき会社員”と、残業続きで仕事が終わらない“ヨボヨボ会社員”が誕生する」という――。
2024年11月21日、スマートフォンの画面上のChatGPTアプリ
写真=Jaque Silva/NurPhoto/共同通信イメージズ
2024年11月21日、スマートフォンの画面上のChatGPTアプリ

月額200ドルの「ChatGPT Pro」が登場

来年、2025年にサラリーマンの世界で起きる最大の事件をふたつ予言しておきます。ひとつは、

「大企業を中心にサラリーマンの仕事の生産性が1.5倍に増加するでしょう」

そしてもうひとつが、

「その職場ではさくさくと仕事をこなせる“いきいき会社員”と、おろおろと困り弱り果てる“ヨボヨボ会社員”に社員が二分されるでしょう」

です。

理由は生成AIの実用化です。2024年までは会議の資料を作成するのに4時間かかっていたのが、2025年からはドラフトを15分で生成できるようになります。会議後の議事録作成に1時間かけていたのが、ワンクリックでほぼほぼ正しいものができあがるようになります。準備作業の生産性が上がるので、営業の訪問件数も1.5倍に増えるでしょう。あらゆるホワイトカラーの仕事のスピードが急速化します。

もう少し具体的にファクトを示します。つい先日、新しい有料版のChatGPT Proが日本でもサービスを開始しました。それまでの有料版のPlusが月額20ドル(約3000円)だったのに対し、Proは月額200ドル(約3万円)です。

驚くべきはその値段よりも、性能の向上幅です。SNSのX上で先に利用を始めたひとたちから驚愕の報告がつぎつぎと上がっています。

「日本語→英語」の翻訳スピードはほぼリアルタイム

それまでの月額20ドル版と違い、文字数や音声ファイルの利用制限がなくなり質問回数や利用できるAIの制限からも解放されました。結果としてさきほどの議事録の話でいえば、会議中の音声をずっと録音しておいて会議終了後に「議事録を作って」とひとこと頼めばその場で議事録が生成できるように変わりました。

音声ファイルの利用体験でさらに驚愕されるのが翻訳スピードです。日本語でしゃべった言葉が英語に翻訳されるスピードがほぼリアルタイムなのです。つまりポケトークのような専用アプリがなくても音声で外国人と会話ができるようになったのです。

ITエンジニアからの体験報告では、それまで不具合があったプログラムで、その原因となるバグがどこにあるのかどうしてもわからなかったが、ChatGPT Proはあっという間にコードのバグを発見してくれたという報告があります。

アプリの自動生成の精度も実用化レベルに高まったという報告があります。最初のうちは「コードを書いて」というやりとりは専門家にしか難しいかもしれませんが、その手順が確立されれば普通のサラリーマンでも自分の仕事を効率化するためのアプリを簡単に作れるところまで性能的には進歩したのです。