IOWN構想の不安要素はサイバーテロ
2030年に向けてSociety5.0、IOWN構想が進む中、その不安要素としてサイバーテロがある。
2024年6月、出版大手のKADOKAWAがサイバー攻撃を受けて、大規模なシステム障害が発生した。ランサムウェア(身代金ウイルス)を使用した攻撃であったと報じられており、子会社のドワンゴが運営するニコニコ動画が一時的にサービス停止に追い込まれた。
このようなトラブルが発生するのは、日本のセキュリティシステムが脆弱であることが大きな要因である。そのため、被害に遭う→慌てて対策をする→その対策を上回る攻撃を編み出す→新たな被害を受ける、というイタチごっこになっている。
基本的にソフトウェアは動かしながらアップデートしていくべきもの。まず、この原則をおさえておきたい。
ものづくり大国としてのDNAがそうさせるのか、日本人は「完成品」を作ろうとする。未完成品を売ってお金をもらうことに抵抗を感じる人が極端に多いのだ。しかし、「完成品」へのこだわりを貫き、いざ出来上がったときには、もう2世代も3世代も時代遅れの品物になっている。
つねにゼロリスクを求める姿勢こそが、最大のリスク化しているという認識を日本人は持つ必要がある。
「ウイルス対策」が裏目に出ることもある
サイバーテロ防止のためには、ネットワークからリスク因子を完全に排除するしかない。そのための最も効果的な手段が通信遮断、クリーンネットワークの実現だ。
トランプ大統領が中国など敵対する陣営との関係を断ち、クリーンなネットワークを構築しようとしたのを覚えているだろうか。これなどは攻撃に対して極めて有効な手法と言える。
悪意ある攻撃のみならず、セキュリティソフトが世界的なシステム障害を引き起こすケースもある。
2024年7月19日の大規模システム障害は、クラウドストライク社のセキュリティ対策ソフト「ファルコン」が誤作動を起こしたことが原因と特定された。ウィンドウズ10がクラッシュするという前代未聞の事態に発展した。
コンピューターを守るために作ったソフトがシステムを破壊、それに至らないまでも機能不全に至らしめることがある。危険はつねに潜んでいると思ったほうがいい。こちらを根本的に解決しようとすれば、前述のように「動かしながらアップデート」で対応するしかない。日本人のソフトに対する意識そのものを変える必要がある。