メキシコ人は「今」しか考えていない

メキシコ人には、あまり「恥ずかしい」という感覚がありません。

愛情の伝え方はダイレクトで、毎日「好き」「愛してる」と言い合うのが普通。それは恋人同士だけでなく、友だち同士でも同じです。対面で伝えるのはもちろん、メッセージでも「大好きだよ」と送り合います。

この過度な愛情表現について、メキシコ人の友人に「なんで?」と尋ねたことがあります。すると、返ってきたのは「だって、いつ死ぬかわからないから(※)」という答え。

「今日が最後かもしれない」と思っているからこそ、恥ずかしがっている場合ではない。愛は日々伝えないといけないんだ……と言うのです。

メキシコ人たちと接していて思うのは、「彼らは未来も過去もあまり考えていない」ということ。

“今”しか考えていないので、貯金も全然しません。同様に、過去を振り返って後悔することもありません。あるかわからない未来より、生きている“今”を大事にしよう。そういう気概を感じます。

平和な日本で生きていると、明日が来るのは当たり前のように思ってしまいます。当たり前に未来があって、だからこそ未来のために貯金をしたり、現状を不安に思ったりする。でも実際は、いつ事故に遭うかわからないし、いつ死ぬかわかりません。

メキシコの場合は日本以上に交通事故や事件が多いのもあって、「いつ死ぬかわからない」という考え方こそが現実的。

(※)キリスト教圏では、「メメントモリ(人に訪れる死を忘ることなかれ)」という考えが根強くあります。

日本人は仕事に人生をかけすぎ

メキシコにも日本と同じく“自殺”する人はいます。ただ、いじめや鬱を理由に自殺する人はいるけど、「仕事で病んで自殺する」人は少なく感じます。

というのも、メキシコ人は日本人ほど、仕事に対して人生をかけていないから。

ルス・グアダルーペ『ラテンのフィルターを通した世界はいつでもポジティブ 社会不適合者の人生サバイブ術』(KADOKAWA)
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メキシコ人は世界的に見ても平均労働時間が長いそうなのですが、これは貧富の差が影響しています。植民地時代の名残りで家柄によっての格差が大きく、富裕層が低所得層を使用人のように扱う文化が残っているので、虐げられる側の人は、生きるために少ない給料で長く働かなきゃいけない。「働きすぎ」と言われる日本人よりも長く働いているというデータがあります。

長く働く理由は諸説あり、個人的に思うのは“低賃金”が関係しているのではということ。メキシコは貧困層の割合が多く、彼らは少ない給料で長く働かなければなりません。仕事を掛け持ちする人も多いので労働時間が長引くのだろうけど、それはあくまでも「お金のため」「家族のため」。

日本人みたいにやりがいのために働いたり、「仕事=人生」みたいな価値観を持っていたりする人はあまり見たことがありません。日本では仕事が一番になっているので、パワハラされても言い返せない、耐えなきゃいけない……という考え方の人も多いと思います。

メキシコの場合、あくまでも一番大切なのはプライベート。次の仕事さえ見つかれば簡単に辞める人が多いです。

人生で何が大事かを考えることが、ラクに生きる一歩

日本は我慢が美徳とされていますが、メキシコ人にも我慢強い側面があります。たとえば電車やバスが全然来なくてもじっと待つし、停電や事故で物事が予定通り進まなくても文句言わずに受け入れます。でもそれは「文句を言っても変わらないから」。諦めのようなものです。

一方仕事は、自分次第でいくらでも変える事ができる。だから耐える必要がないんですね。

「自分の人生を豊かにできるのは自分だけ」こういうメキシコマインドに辿り着くためには、「人生で何が大事か」を明確にするといいのかもしれません。

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