――わかります。昔からすごく好きだった方を取材させてもらうときに、だいたいやっぱり、ああダメだったと感じてしまいます。期待値マックスの状態で臨むから、普通に終わってもそう感じてしまうのかもしれない。
元木 そうですね。僕もいろんなハッピーなことを考えて行ったからなぁ。だから、ちょっとね、折れましたね。でも、ここまで折れたのはそれだけ好きだったからだなと。思いが浅かったら、たぶんここまで折れないんで。それが再認識できたのは良かったですし、再挑戦につながったので。
インスタの料理企画で、フォロワーが17万人に爆増した経緯
――どうやって気持ちを切り替えたんですか。
元木 次もし木村さんの前に立つ機会があれば、ちゃんとモノマネ以外で見せられる部分を作ろうと。それでギターを習ってみたりとか、いろいろ試してはみたんですけど、どれもなかなかうまくいかなかった。なんとか声や歌のモノマネもできないかなって、ボイトレの教室にも通いました。
2年半通ったんですけど、先生が言ってることが全然僕には理解できなくて。ピアノで「この音を出してみましょう」って言われても「??」。月謝払ってるんですけど、逆に先生のほうから「元木さん、そろそろ……」と言われてしまいました。
――ああ、優しさからくる「元木さん、そろそろ(お辞めになったほうがいいかもしれません)」ですね(笑)。
元木 そんなパターンあります(笑)? 先生月謝入るのに!! そんな試行錯誤の末に行き着いたのが、今インスタでやってる料理だったんですよ。
――元木さんが木村さんのモノマネをしながらちょっと変わった料理を作るアレですね。
元木 あの挫折がなかったら、インスタの料理企画は始まってないです。「BISTRO SMAP」や『グランメゾン東京』などをいろいろ見て、まだ誰も作ってないアホ料理をたまにアップしていくようになりました。
そこからフォロワー数も徐々に伸びていき、木村さんのモノマネだけをやってたときは5000人ぐらいだったんですけど、料理を始めてから2、3年で、今は17万人ぐらいの方に見ていただけるようになりました。しかも海外の方が熱心に見てくれている。
木村拓哉モノマネで香港のCMまで勝ち取った
――海外の木村さんファンが。
元木 視聴者の1位が香港です。そしたら最近、なんと香港のCMのオファーをいただきました。
――すごい、試行錯誤の末に香港のCMまで勝ち取った。人生何が起こるかわからないですね。
元木 そうなんですよ。いま、香港では木村さんのCMの後に僕のCMが流れるというわけがわからないことが起きているみたいです(笑)。
――憧れの人に少しずつ近づいている。
元木 はい。木村さんは「なんやねん、こいつ」ってなってるかもしれないですね。「またこいつかよ」みたいな。いよいよお笑いとして見てくれてるかなぁ。
撮影=佐藤亘/文藝春秋
〈「70歳になっても、俺はキムタクだって言い張る」SMAP公開謝罪→解散後も“キムタクものまね”を続ける“木村拓哉そっくり”芸人の生き様〉へ続く