ADHDやASDといった発達特性を持つ人は、片付けが苦手という傾向がしばしばみられる。自身も発達特性を持ちつつナレーター、声優として活躍する中村郁さんは「私たちが部屋をきれいに保つのはかなり難しい。さまざまな工夫や助けを借りる必要がある」という――。
※本稿は、中村郁著『発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術』(かんき出版)の一部を再編集したものです。
片付けが苦手な人のためのゲーム
ADHDを持つ人は片付けが苦手な人が多い、と言われています。例外なく、片付けが苦手な私ですが、こんなゲームがあることをお片付けのプロである知人から教えていただきました。それは、「ミンスゲーム」。アメリカのミニマリストが考案した「ミニマリズムゲーム」の略です。
ルールはとってもシンプルです。その日の日付の数だけ、ものを手放していくのです。例えば、7月1日であれば1個、7月15日であれば15個、というように。そもそも、部屋が片付かない最大の原因は、ものが多すぎるから。それならば、単純にものを減らしていけばいいのです。
やるべきことを先延ばしにする私でも、ゲーム形式にしてしまえば楽しく取り組めるのではないか、と思い、早速やってみました。しかし、当然ながらすぐに挫折しました。
4日目、その日は4つのものを捨てなければならないのにサボってしまったのです。翌日に持ち越してしまったので、5日目は前日の4つと合わせて、9つ捨てなければなりません。こうなったらもうおしまいです。さぼればさぼるほど、雪だるま式に捨てるものは増えていきます。私のミンスゲームは、静かに幕を閉じました。