この超低金利時代に解約返戻金が30年で2倍超え

約30年前に35歳で1000万円の終身保険に加入し、65歳で保険の支払いが終わったAさん(女性)の「終身保険」で見てみましょう。

Aさんが契約したこの保険では、保険料の払い込みが終わった65歳からは、追加の支払いを一切せずとも死ぬまで1000万円の保障が一生涯続きます。なぜなら、すでに65歳までに、一生涯の保障ができるだけの保険料を払い込んでいるからです。

ところが、65歳で保険料の払い込みが終わる時点で、保険会社に勧められて保険を解約するケースが多いのです。「400万円近くになっていますから、老後資金としてたくさん戻ってきますよ」などと囁かれてしまうからです。

ただし、老後資金に困窮していなければ、こうした保険は解約しないほうが絶対にお得。

【図表2】解約返戻金額の推移

なぜなら、65歳でこの保険を解約したら、戻ってくる解約返戻金は約394万円。けれど、これを解約せずに75歳まで置いておくと約488万円になり、なんと10年間で94万円も増えるのです。利回りに直すと、2.4%で貯金をしているのと同じです。

しかも、いつ死んでも、保険を解約するまでは1000万円の保険金が出るのですから、なんとも手厚い!

さらに、85歳まで置いておくと、65歳から20年間まったく保険料を払っていないにもかかわらず約730万円となり、95歳まで置いておくと約880万円になります。

つまり、65歳から95歳までの30年の間、1円たりとも追加の支払いは不要で、しかも解約せずに置いておくだけで、約394万円の解約返戻金が約2倍以上の約880万円に増えるのです。

上記のような「終身保険」ではなく、「定期付き終身」という保険に入っている人は多いと思いますが、この保険の「定期部分」は掛け捨てで、「終身部分」は先の終身保険と同様に「貯蓄」になっていますから、入った時期によっては大きく増えるので、「子どもが社会人になったので、こんなに大きな保障は必要ない」ということなら、「終身部分」だけを残し、「定期部分」を無くす(減らす)といいでしょう。