50台半ばだった偏差値が突然70超に

6年生の11月、中学受験直前、そして1年生から受け続けた息子にとって今回で最後となる「小学生テスト」が行われました。

その結果に驚きました。息子の偏差値が70を超えていたからです。

小学校高学年になってからは、平均50台半ば。それがここに来て突然の70超え――。

志望校に入力した麻布はA判定。いつも“再考”だったのに、です。

四谷大塚も日能研も、塾に通っていない“外部生”が模試を受ける場合、塾の教室や提携塾の教室を使って受験させてくれます。ただ、自宅近くで毎回受験できるわけではなく、受験枠が残っている教室での受験となるため、模試受験人数が増える6年生の後半は自宅近くの教室がいつも一杯で、都内から離れた千葉や神奈川、埼玉への“遠征”でした。

この息子との模試遠征の帰り道には、試験を頑張ったご褒美に美味しいものを一緒に食べたり、ゲームセンターで息抜きしたりしていました。進学校を目指す“いわゆる中学受験”ではない息子と私にとっては、模試の結果に一喜一憂する必要がなかったので、小旅行気分だったのです。

塾も驚いた「赤平家独自の勉強法」

外部生の模試の結果返却時には、必ず塾に受け取りに行く必要がありました。その際、入塾の勧誘も兼ねた「塾講師と親の面談」も必ずセットになっています。

この最後の「小学生テスト」の時も、私は結果を受け取りに行きました。すると塾の方から最初にこう聞かれました。

「赤平君は、どちらの塾に通われているんですか? SAPIXですか?」
「塾は行ってなくて、家で勉強を見ているんです。息子は発達障害があるので……」
「家庭学習だけですか⁉ どんな方法なんですか?」

私はこれまで行ってきた生活面の支援や勉強方法を説明しました。

「いやぁ、すごいやり方ですね……。これまで、そんな風に勉強しているという話、聞いたことがありませんよ」

赤平大『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』(飛鳥新社)
赤平大『たった3つのMBA戦略を使ったら発達障害の息子が麻布中学に合格した話。』(飛鳥新社)

受験直前の11月に起こったこの「偏差値70」事件は、私にとって1つの区切りとなりました。そもそも、「小学生テストで全国上位に入れば、学校でいじめられなくなる」これが、模試を受け続けた理由です。

でも残念ながら、息子の順位はまったくあがらず偏差値50台をウロウロ。高学年になると、いじめはほとんど無くなっていたので、テストを受ける大義は失っていましたが、それでも続けてきました。

「最後の最後でいい成績がとれて、頑張りが目に見える形になって良かった。息子の自信になった」

そう思っただけで、この時点でもまだ決して、麻布受験は考えませんでした。

【関連記事】
【第1回】「自分はダメ人間だ」と思ってほしくない…発達障害の息子に父が毎日している"自己肯定感を上げる声かけ"
それは発達障害ではない…「ミスが多い」「空気が読めない」人間関係のトラブルを作り出す意外な要因
ダメな親ほど「子供に失敗をさせたくない」と言う…東大生に聞いてわかった"頭のいい子が育つ家庭"の共通点
「親バカぎみ」の親の子のほうが着実に伸びる…心理学者「子供の能力を引き出す"禁断の声かけフレーズ"」
「子どもがうるさくして、すみません」より効果的…躾への"お叱り"を穏便にすませる「魔法のひとこと」