「第三極」政党の生き残る道

「第三極」と呼ばれた政党でまともに生き残ったのは、1996年衆院選で野党第2党としてスタートした民主党くらいのものだ。結党翌年の97年、当時の野党第1党・新進党が突然解党し、同党議員の多くが民主党に合流したため、民主党は「棚ぼた」で野党第1党となり、後に政権交代を実現した。

このような「棚ぼた」でもない限り、「第三極」政党が大きく浮上することは、まずない。「第三極」の生きる道は、2大政党のどちらかにくみして、その政党に協力しつつ何らかの圧力をかけて政策を実現することだと言える。

この観点から維新と国民民主の現状を考えたい。ポイントは①首相指名選挙、②党内の路線対立――の2点である。

メディアの報道では、石破政権と維新や国民民主について「連立入りか、閣外協力か」という憶測が楽しげに飛び交っている。しかし、それは石破政権が継続した場合のこと。そのためには石破首相は、まず特別国会での首相指名選挙に勝ち、再び首相に選ばれなければならない。衆院選の結果、自公両党は自力でそれを実現させることができなくなったため、今維新や国民民主の両党に秋波を送ろうとしているのだ。

「自民とも立憲とも組まない」のいいとこどりはできない

維新も国民民主も現時点で「自民と立憲のどちらとも組まない」姿勢を強調している。しかし、両党がその姿勢を貫いた状態で首相指名選挙を迎えたらどうなるか。誰も過半数の票を得られず、石破首相と立憲の野田佳彦代表との決選投票になる可能性が高い。維新も国民民主も、決選投票で石破氏と野田氏のどちらの名前を書くかを迫られる。「自民党と立憲民主党のどちらの側に立つのか」を決めなければならないのだ。

その選択を迫られたくないのだろう。玉木氏は28日のTBS番組などで、決選投票でも「玉木雄一郎と書く」と言い放った。そんなことをすれば、それはただの無効票だ。衆院選で有権者の1票1票を大切に積み重ねてきた国会議員が、最も大事な仕事の一つである「首相を選ぶ選挙」で無効票を投じることを奨励するなら、政党トップとしても国会議員としても不適格だ。玉木氏は発言を撤回したほうがいい。

いずれにせよ維新も国民民主も「自民側」か「立憲側」に色分けされる可能性が高い。両党がその後、連立を組もうが「是々非々」で対応しようが関係ない。そして、一度「自民側」とされれば、影響は来年の参院選まで確実に続く。首相指名選挙とはそういうものだ。

首相指名選挙で与党側につき、政権党のうまみを堪能しつつ、参院選直前に何らかの理由をつけて与党とたもとを分かち、参院選は野党として戦う手もあるかもしれない。だが、こうしたやり方は確実に、党を大きく傷つける。

自民党の小渕政権と連立を組んでいた自由党がそうだ。同党は2000年に政権離脱を決めるが、その際に小沢一郎氏(現立憲民主党)ら連立離脱派と、二階俊博氏ら連立残留派に分裂。残留派は「保守党」を結党し、連立に残った。保守党はその後さらに分裂し、今は影も形もない(二階氏だけは今回の衆院選で引退するまで、自民党で隠然とした力を保ち続けた)。