法人向けのサービスが
整備されているかに注目!

では、BYODを進めるメリットとしては、どのようなことが考えられるのだろうか──。まず従業員の立場では、使い慣れた自分のデバイスやその設定環境をそのまま使えるため、ストレスがない。もちろん、端末の2台持ちという面倒もないわけだ。一方、企業側としては、端末を購入しないで済むためコストメリットがある。

加えて西田氏が指摘するのが「管理コストの削減」だ。「仮に従業員全員にスマートフォンを支給すれば、その管理にかかる手間は決して小さくありません。『使い方が分からない』『故障した』といった従業員からの声に日々対応するためには、専任の担当者を置く必要があるかもしれない。こうしたコストは、継続的に企業側が負担しなければならないのです」

日本においても、今後さらなる進展が予想されるBYOD。通信会社などでも、その関連サービスの開発に力を入れ始めている。例えば、NTTコミュニケーションズが提供している「050 plus W-mode」もその一つだ。その名のとおり、ビジネス用に開発されたこのサービスは法人限定。スマートフォンにアプリをダウンロードすれば、1台の端末をビジネス用、プライベート用に使い分けられ、プライベートの090や080番号とは別に、従業員がビジネス用の050番号を持つことができる。

この種のサービスの利点として、まず挙げられるのは、やはり精算業務の効率化だ。現在、通話の請求書明細からビジネス関係のものだけを抜き出して精算している──そんな会社もあるだろうが、先に示した調査結果にもあるとおり、毎月毎月の作業は非常に煩わしい。サービスを導入すれば、ビジネス利用の通話分については、自動的に会社に請求が行くため、会社、従業員とも負担がない。もちろん会社側には、サービスを利用している従業員の通話料金が一括請求され、一方で個々の利用額も把握できるから使い勝手がいい。

西田氏も、こうしたBYOD関連のサービスを会社として利用する際は、「一括管理機能をはじめ、法人向けサービスが整備されているかどうかが一つのポイントとなる」と言う。無料のものも含め、数多くのサービスがリリースされているなかで、きちんと自社のやりたいことを実現できるかを見極める必要があるわけだ。

仕事のスピードアップや生産性向上など、ビジネスツールとして今後ますます活躍の場を広げていくことが予想されるスマートフォン。経営者としては、それを従業員にどう使わせるか──。一度しっかりと考えてみる必要がありそうだ。