「東大の問題」は記述式の割合が多い
なぜこの訓練が有効なのか?
少し話は変わりますが、みなさんは「東京大学が日本で一番難しいと言われる理由」を知っていますか?
私は東京大学志望の生徒たちに指導をすることが多いです。「日本で一番偏差値が高い大学である東京大学に合格したい」と考えている生徒たちに対して、国語の勉強やメンタルの保ち方・それ以外のことも含めていろんなことを教えています。
東京大学は、全科目、ほとんどの問題が記述問題の大学です。
まず国語ですが、普通国語の入試では「この選択肢の中から答えを選びなさい」というような選択肢を選ぶ問題が出題されるわけですが、東大は一切そういう問題が存在しません。説明や理由を求める記述の問題だけで構成されています。
国語以外の科目でも、英語でも理科でも社会でも、「これはなぜか、30文字以内で説明しなさい」といった問題が多く出題されています。数学でも問題の答えを途中の計算過程や思考の過程も含めて記述しなければならないので、全国で一番記述の割合が高い入試だと言えるでしょう。
「全部記述で書かなければならないなんて、難しい大学だなあ」と思うかもしれません。でも実は、本当に東京大学が恐ろしいのはここからなのです。
「文字数制限」は京大や阪大よりシビア
たしかに難しいですが、記述式の問題が多い大学は他にもたくさんあります。でも、東大だけは、その記述問題に一つ、大きな「制限」が加えられているのです。
それは、文字数制限です。「これはなぜか、30文字以内で説明しなさい」「これはどういうことか、60文字以内で答えなさい」というように、多くの記述問題に文字数の制限がかかっています。
文字数の制限が非常に厳しく、「100文字以上かけて説明するなら全然簡単だけど、60文字で説明しなさい、なんて難しいよ!」と感じる受験生が続出します。
国語の解答用紙の解答欄も、他の大学(京都大学や大阪大学など)に比べても狭く・小さく作られています。短く書かなければならないのが厳しくて、難しいのです。
他の大学では、文字数制限が付いていない大学も多いですし、逆に「長く書くこと」を求める場合が多いです。
例えば、英語では自由英作文と呼ばれる問題形式があります。これは、さまざまな大学で出題される問題形式で、「〜について、あなたの考えを○語以内の英語で答えよ」というような問題になります。これが、東大と他の大学で文字数制限が違うのです。
一橋大学の自由英作文は100〜140語で、他の難関国公立大学も基本的に100語程度の英作文を求めるのに対し、東大はだいたい70語程度で、年度によっては40語程度の場合もあります。
「短い文字数でいいってことは、東大の方が簡単ってことじゃないの?」と思うかもしれませんが、短く言いまとめなければならないからこそ、冗長に説明することができず、ポイントを絞らなければなりません。
「短く語らなければならないこと」こそが、東大が日本で一番難しい大学だと言われている一つの大きな要員なのではないかと私は考えています。