達成動機は、成功を体験して目標を達成する喜び(自己効力感)を味わうことによって高まっていきます。仕事の中で自己効力感を得ることが難しければ、趣味の分野でもいい。少し頑張れば手が届く資格に挑戦するなどして、成功体験を積み重ねていくことが、困難にくじけない心をつくります。

意外なところでは、「愚痴」の効果も見逃せません。カウンセリングの現場では、患者に自分のことをとにかく話してもらって問題点に気づかせる「おしゃべり療法」が功を奏すことがあります。これの応用で、困難で何もかも嫌になったら、誰かに聞き役になってもらい、とにかく話して頭の中を整理するのです。解決ではなく、頭の中を自分で整理することが目的ですから、あっさり解決策を与えてくれるような相手では逆効果になることもあります。むしろ何度も聞き直してくれるくらいの相手が理想です。

ただ、男性は女性に比べて腹を割って話すことが苦手かもしれません。ツイッターなどネット空間に愚痴をこぼしてもいいのですが、聞いてもらっている実感に乏しく、かえって空しさが募る恐れもあります。やはり奥さんや親友など、お互いに愚痴をこぼし合える相手を大事にすることが一番。困難から自分を救う鍵は、普段の身近な人間関係にあるのかもしれません。

(構成=村上 敬)
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