休む習慣が身につくと大人になっても役に立つ

社会人になってからも同じことが言えます。無理をしすぎて体を壊したり、精神心理疾患と診断されたりして、休職せざるをえなくなる若い人が増えたと社会問題になっています。その一因には、もともと家庭生活の中で休む習慣や、ストレスに対処する方法を身につけていないことがあるのではないかと、私たちは考えています。

休む習慣やストレス対処は、自立してからも一生必要になるスキルなのです。どのような人も、「なんだか疲れたな」「今日は休みたい気分だ」というときがあります。

もちろん、社会人として働いていれば、おいそれとは休むことはできませんよね。

しかし、「今日は大事なミーティングがあるから休めないけど、明日の会議は自分がいなくても回るから、体調がよくないことにして欠席しよう」「今週のどこかで半休(半日休暇)を使ってマッサージに行ってこよう」などと、うまく自分をメンテナンスする術を知っていれば、疲れが初期の段階で回復して元気な状態を保てます。

ましてや、小学校や中学校の義務教育の期間は、多少休んだところで罰則があるわけでも、給料を減らされるわけでもありません。そのようなうちに「疲れたら休む」ことを学んでおくと、高校生になった頃には、「この授業を休むと単位がとれないからまずい」「この授業は休んでも大丈夫」などと、自分で考えて休む計画を立てられるようになります。それが、社会人になってからの、自分をメンテナンスする術につながっていくのです。

親が無理をしていたらそれが当たり前になってしまう

大人も子どもも、疲れたときは休むべきです。休むことに罪悪感を抱く人もいますが、そのような必要はありません。無理をして急に倒れてしまうほうが、よほど周りにも迷惑をかけてしまいます。もちろん、自分のためにもなりませんよね。

いつまでも元気でいるために、ぜひ、子どものうちから、休む習慣やストレスに対処する方法を、家庭で身につけさせましょう。

とはいっても、「そんなこと、親から教わったことなんてないよ」と言いたくなる人もいるかもしれませんね。

確かに、「これがストレスの対処法ですよ」と、親から手取り足取り教えてもらう機会はなかったかもしれません。しかし、親の休む姿勢を見ていれば、子どもはそれを見て、自然と学んでいきます。つまり、やり方を口頭で教えるのではなく、親御さん自身がしっかり休む、その姿をお子さんに見せてあげてほしいのです。

親がいつも無理をしていたら、その背中を見た子どもは「無理するのが当たり前」と学ぶでしょう。親が休むことに罪悪感を抱いていたら、子どももその気配を敏感に察知するでしょう。そうして、休むことを知らない人間に育ってしまうかもしれません。

休む習慣を身につけることは、自立した人間になるために必要なことです。あなたが無理をしないでゆっくり休むことは、子どもの将来のためになります。親は、堂々と休むべきなのです。