承認欲求の塊のような「痛客」が来店する

そもそも、なぜ男が「夜の街」に通いつめるのかというと、根本的なところでは「寂しくて辛い」ということがある。河島英五の「酒と泪と男と女」ではないが、「飲んで 飲んで飲まれて飲んで 飲んで泣き潰れて眠るまで飲んで やがて男は静かに眠るのでしょう」という、心にポッカリと穴が開いた男だ。

「なに決めつけてんだ! オレは女性に不自由してないし、純粋にキャバクラやクラブで飲むのが楽しく通っているだけだぞ!」とご立腹のスマートな遊び人も多くいらっしゃるだろうが、接客する側の声に耳を傾ければ、「寂しさや辛さを酒と女で癒す男」というのもかなりいるのだ。

2020年3月、株式会社コンプライアンスが現役キャバ嬢1006人を対象に実態調査を実施した。その中で、「この人は無理だと感じるお客さんの特徴を教えてください(複数回答可)」と質問したところもっとも多いのが「お触りしてくる」(43.7%)というのは予想できるが、その次に多いのはなんと「すぐに説教してくる」(40.5%)という。

さらに注目すべきは、「何かとアフターや同伴を求めてくる」(31.5%)という王道の迷惑客と並んで、「口が悪い」(31.0%)というカスハラ的な客や、「過去の武勇伝自慢をする」(29.3%)という承認欲求の塊のような客も多いということだ。

ちなみに、このように女性側を困らせる迷惑男たちは通称「痛客」と呼ばれ、キャバ嬢やラウンジ嬢たちが、痛客とのLINEのやりとりを晒している。検索をかければ山ほど出てくるので、興味のある方はご覧いただきたい。

自分より弱い立場の人相手にストレス発散

では、このような「イタい男たち」の言動から、彼らの心情を想像してもらいたい。

まず、女性のお尻や太ももを触ろうとしたり、店外デートに持ち込むのに必死な男たちに関しては根本的なところで言うと、「自分の寂しさを女性で癒したい」ということがある。恋人がいない、あるいは恋人がいたり結婚したりするけれど、心の中で孤独を抱えているケースだ。このような「イタい男たち」の事情は正直、人それぞれだろう。

問題は、見ず知らずの若い女性を相手に説教、暴言、自慢話を繰り返す男たちがかなりいるという事実だ。本来は高いカネを払って女性と楽しくおしゃべりをするような場所で、なぜこんな暴挙に出るのかというと、自分より弱い立場の人を相手にストレスを発散している、つまりは「八つ当たり」である可能性が高い。

なぜそんなことが言えるのかというと、夜の街の女性たちと同様、決して歯向かってこない「客商売」の人たち相手に説教をしたり、暴言を吐いたり、あるいは得意気に論破をしたりすることで、ストレスを発散する男たちが増えているからだ。

そう、「カスハラ」である。