石破氏も愛子天皇の可能性は排除している

まず、現行法では、愛子さまも佳子さまも皇位継承候補でなく、皇位継承順位は「秋篠宮皇嗣殿下→悠仁親王殿下→常陸宮親王殿下」である。継承順位トップが天皇陛下の弟である「皇嗣」のとき、「皇太子」と違うのは、天皇陛下に新たに男子が生まれたときに地位を失うことのみだ。

上皇陛下は18歳の成年時(1952年)に、天皇陛下は上皇陛下即位の翌年(1991年)に「立皇太子礼」を行ったが、上皇の誕生前に継承順位1位だった昭和天皇の弟の秩父宮殿下は、とくに儀式はしないまま上皇陛下が即位されて継承順位が下がった。

秋篠宮皇嗣殿下は、天皇陛下即位の翌年(2020年)に「立太子礼」と同じ内容の「立皇嗣礼」を行った。これは、陛下に男子ができる可能性はないと対外的に表明したことを意味するのであるが、「皇嗣は皇太子と違う」という主張は、新たな男子の誕生の可能性を忘れるなということなのだろうか。

政治的な課題として皇室典範の改正が予定されているというなら別だが、「女系天皇含み」と報じられた石破茂氏でも、「男系優先に決まっているが、女系を完璧に否定していいのかというと、皇室を大切にするということから少しずれていると思う」(今年6月18日のBSフジ番組)と述べ、悠仁さままでの継承は前提にし、愛子天皇の可能性は明確に排除している。

悠仁さま本人に不安はない

この発言を、「愛子天皇」誕生を期待する一部の識者が「石破首相になれば、長年の宿題解決に向けて前に進む可能性」と言うのは、悪質な印象操作である。

もちろん、悠仁さまに天皇として、重大な欠陥があるなら話は別だ。しかし、そうとはいえない。学業については、東京大学に一般入試で入れるレベルかはともかく、学校推薦入試を利用することが可能な校内での成績であり、共通入試での見込みもあるようである。

お茶の水女子大学附属中学の卒業時、学校側は記者会見で「学校での成績は優秀」と公式に説明しているし、同級生らへの取材でも裏付けられている。体力的にも12歳のときに槍ヶ岳に登頂されたり、スポーツもお好きであるなど頑健であるし、学友からも人間的に危惧させるような噂はなにも出ていない。

受験準備中にもかかわらず、外国王族の訪問への接遇、地方でのイベント参加など公務を器用にこなされており、将来の公務遂行における不安はない。