親が熱中しすぎるのはNG

気をつけなければならないのは、親が熱中しすぎないことです。

特に子育て科学アクシスに相談に来られる親子で多いのが、地域のサッカーチームや野球チームなどでお父さんがコーチをしている場合です。わが子の指導に熱が入るあまり、自分の子どもに人一倍厳しく接し、チームメイトの前で「おまえのせいでチームが負けた」などと叱責してしまう人もいます。たとえ期待の裏返しであっても、全員の前でいつも自分ばかり叱られていたら、子どもの心は折れてしまいます。

その結果、自己肯定感が著しく低下し、何をするにも「どうせ自分はダメだ」と無気力になってしまったお子さんをたくさん見てきました。ですから、趣味にしろ習い事にしろ、親自身が肩の力を抜いて楽しむことを意識しましょう。その上で、親子で楽しい時間を共有できるものをぜひ見つけてください。

「子どもが、自分から『やりたい』と始めた習い事を、飽きたからといってすぐに辞めさせてもいいですか?」

これは、親御さんからのよくある相談の一つです。子どもが習い事に行きたがらない、練習をサボってばかりいる、という状態になったなら、スパッと辞めさせることが肝心です。親御さんの中には、「自分から好きで始めたんだから、責任をもってちゃんと続けなさい」とできるだけ継続させようとする人もいます。ですが、本人にやる気がないものを強制的に続けさせても、あまり意味がありません。

そうなる前に、本当にやらせるべきかどうか、習い事を始める段階でよく吟味することが大切です。幼い子どもは好奇心旺盛ですから、大抵のことに興味をもち、すぐに「やりたい」と言い出します。しかし、それを鵜呑みにしてはいけません。

過度な期待を背負わせるより、子どもと一緒に遊ぶべき

まずは体験教室などで子どもの様子をしっかりと観察し、「この子に向いてそうだな」「本当に楽しんでいるな」と思えるものであれば、やらせてみてもいいと思います。その場合も、幼児なら夜8時まで、小学生なら夜9時までには就寝できるスケジュールを組みましょう。

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ただし、時間は有限ですから、習い事をやればやるほど、子どもが家庭で過ごす時間は短くなります。それを差し引いてでも「習い事で学ぶことの方が、この子の人生に役立つ」と思えるのであれば通わせてもいいと思いますが、そうした習い事は実はそんなに多くないと実感しています。ましてや親御さんが、「もうちょっと頑張らせれば、いつか習い事にかけたお金が何倍にもなって返ってくるのではないか」と賭け事のように思っているのであれば、絶対に辞めさせるべきです。

ほとんどの場合、子どもは親の期待通りには育ちませんし、親のエゴにより過度な期待を子どもに背負わせるべきではありません。それよりも親子で一緒に出かけたり、遊んだりする中でさまざまな体験をさせる方が、子どもにとってずっと充実した時間になるはずです。

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