「親が一緒に楽しめるもの」を基準にするといい

他にも「“本”がつく言葉を思いつくだけ挙げてみよう」「“1本”“2本”と数えるものには何がある?」など、いくらでも考えられます。親も引き出しを増やす必要がありますが、親が通り一遍の学習や正解にとらわれるのをやめれば、子どもの世界はどんどん広がっていきます。

学習塾や習い事を全面的に否定するつもりはありません。週にいくつか、本人が楽しむことができ、無理のないスケジュールで取り組む分には問題ないと思っています。私自身、娘を学習塾や予備校に通わせていたことはありますし、幼少期にはピアノも習わせていました。

ピアノを習う子供
写真=iStock.com/Nattakorn Maneerat
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習い事については、数ある選択肢の中から取捨選択するのが難しいと感じる方も多いでしょう。特に子どもが幼いうちは、まだ趣味趣向がはっきりとしないため、何にでも興味をもっては、すぐに飽きてしまいます。時間とお金に余裕のある家庭であれば、片っ端からやらせてみても良いかもしれませんが、そうでない場合は「親が一緒に楽しめるもの」を基準に選ぶことをお勧めします。

実際、私が娘にピアノを習わせたのも、一番の動機は私が一緒に楽しみたいからでした。幼少期は一緒に親子ピアノ教室に通い、小学校に入学してからも、発表会では私とジブリの曲を連弾するなど、相変わらず親子で楽しんでいました。

親の姿を見ることで自然とやる気が出てくる

このように、子どもの意思がまだはっきりとしない幼少期は、習い事に限らず、親が主体となって楽しめるものに子どもを巻き込むのがお勧めです。私の場合はピアノでしたが、英語が好きな親御さんであれば子どもと英会話教室に通うのもいいでしょうし、水泳が好きなら親子でスイミングスクールに通うのもいいと思います。

その際、子どもだけ通わせるのではなく、必ず親子で楽しむことが前提です。スイミングスクールでよくあるのが、子どもが泳ぐ姿を、親が観覧席からガラス越しにただじっと見つめているという光景です。しかし、特に子どもが幼いうちは、一緒に習い事に取り組む中で、親自身が率先して楽しむ姿勢を見せることが大事です。親が楽しむ姿から、子どもは「自分ももっと上手くなりたい」「一緒に楽しみたい」と自然といい影響を受けます。

あるお父さんは釣りが趣味で、息子さんが幼少期の頃から休みのたびに一緒に海に出かけていました。息子さんは釣りを通して、魚をはじめとする海の生物全般に興味をもつようになりました。大学では水産学部に進学し、下宿先には13個もの水槽を置いて、ありとあらゆる海の生き物を飼育しています。幼少期にお父さんと釣りを楽しんだ経験が、彼の進路に大きな影響を及ぼしたことは明らかです。