「惜しかった」「いい試合だった」では満足しない
まさに1点を争う展開のまま15点では決着がつかず、デュースが続いた。その後も互いに点を獲り合うなか、フランスが1点を挙げて16対17と逆にマッチポイントをつかまれた。
最後は西田選手がブロックに当てて後方まで飛ばそうとしたスパイクを拾われ、つないだ先にいたガペの素晴らしいスパイクが決まって16対18に。
あと一歩のところでフランスからの勝利を逃した。
東京オリンピックでのブラジルの敗戦と、世界選手権でのフランスの敗戦。
どちらも世界王者に負けたということに変わりはない。でも、この2つの負けには大きな違いがある。
ブラジル戦は、「これだけやっても勝てない」と力不足を突き付けられたのに対し、フランス戦は「勝てる」と思ったのに負けたということだ。
すべてを出し切れたかと問われたら決してそうではない。少なくとも僕は、最後のサーブで自分が打つべきサーブを打つことができなかったという後悔が残った。
きっとそれは僕だけでなく、最後のスパイクを決められなかった西田選手や、ほかの選手も同じだろう。
それぞれが「あそこで決めていれば」「あそこで拾えたら」と、具体的な悔やまれる1本がこびりつく試合になったはずだ。
あと一歩まで行きながら、勝ち切れない悔しさ。
「惜しかった」とか「いい試合だった」と言ってもらえることは嬉しかったけれど、結果を求めるならば、ここで満足するわけにはいかない。
フランス戦に負けたとき、心から思った。
これからは勝っていくだけだ。僕たちに求められるのは勝利だと。