抗がん剤の使用は本来、専門家である腫瘍内科医が行うべきです。しかし日本には腫瘍内科医の数が少なく、がんの治療は外科医が行うことが多くなっています。外科医は手術のプロですが、必ずしも抗がん剤のプロではありません。よって、「抗がん剤のやめ時」を正しく理解していないのです。

抗がん剤のやめ時を判断するのが難しい別の理由として、余命がわからないこともあります。よく、医師から「余命宣告を受けた」と言われますが、実は余命というのはせいぜい3分の1程度しか当たりません。つまり、医師だって人間がいつ死ぬかなどわからないのです。余命半年と言われたけれど1年も2年も生きる人がいるのはそのためです。あまり当たらないにもかかわらず、余命宣告を平気でするのはいかがなものかと私は思います。