服役しても痴漢をやめられず、再び実刑
痴漢でいきなり実刑は、普通なかなかない。この被告人には服役前科が3犯もあった。
1、約3年半前に「窃盗」で懲役10月、執行猶予3年。中身は不明だが、一般的には、罰金前科が複数あっての、数百円程度の万引き、かもしれない。
2、約2年半前に「迷惑条例違反、建造物侵入」で懲役10月。「建造物侵入」は女子トイレ侵入かもしれない。これにより「窃盗」の執行猶予は取り消しに。
3、約1年半前に「迷惑条例違反」で懲役7月。
2、約2年半前に「迷惑条例違反、建造物侵入」で懲役10月。「建造物侵入」は女子トイレ侵入かもしれない。これにより「窃盗」の執行猶予は取り消しに。
3、約1年半前に「迷惑条例違反」で懲役7月。
検察官は刑務所を「徹底した矯正教育を施す矯正施設」といつも強弁する。だが本件被告人は、服役しても痴漢をやめられなかった。前記「痴漢が非常に多い路線」で、18歳女性のスカートの上から臀部を触り、さらにスカートをまくり上げて陰部と臀部を直接触った。捕まりそうになるや、線路へ飛び降りて逃げた。
スマホばかり見ていると痴漢犯に気づけない
線路への飛び降りは「威力業務妨害」になる。しかし本件にその罪名はなく、「強制わいせつ」(※)のみでの起訴だった。電車の運行にはほとんど影響がなかったものと思われる。私が傍聴した他の2件は「威力業務妨害」でも起訴されていた。その2件とも、前科があった。
※着衣の上から触れば「迷惑条例違反」、性器に直接触れば「強制わいせつ」、おおむねそんな振り分けになっているようだ。また、2023年7月13日に改正刑法が施行され、痴漢は「強制わいせつ」ではなく「不同意わいせつ」で起訴されるようになった
3件という少ないデータではあるが、痴漢をやって線路へ逃げるのは前科があり、ときに刑務所暮らしも経験し、「もう絶対捕まりたくない!」と強く思う者、という共通点があるようだ。
「絶対捕まりたくないなら痴漢などしなきゃいいのに」、そんなきれい事は通用しない。痴漢犯の脳は妄想と欲望に支配されている。そういう男が満員電車の中に、1人か複数人かいて、チャンスをうかがっているのだ。
いわゆる寿司詰め状態ではなく、それなりに隙間がある状態でも、痴漢犯は活動する。おとなしそうな女性の後ろに、妙な男が立っていないか、スマホから顔を上げ、周囲を見回してみてはいかがだろうか。