予診票はできるだけ家で書いてきてほしい

ルールを守るというのは、医者と患者さんの関係だけの問題ではなく、人と人との関係の基本ではないでしょうか。ワクチンの予診票もあらかじめ自宅で記入してくださいと、電話で確実に説明しています。ところがそういう約束を破る人がいます。クリニックに来てから予診票を埋めていくと時間がどんどん経過して、決まった時間帯にワクチン接種を済ませることができなくなります。

自宅で予診票を埋めてくることができない人には、それなりの言い分があるのかもしれません。しかし、電話で予約を取ってから、当日来院するまでにかなりの日数があるのですから、その言い分は私にはちょっと想像ができません。開業医でワクチンを打つということ自体を軽く見ているのかもしれませんね。そうであれば残念です。

子どもに予防接種を一切打たない親は迷惑

また、自分の子どもに一切、予防接種を打たない人もいます。うちのクリニックにも数人います。はっきり言って迷惑です。もちろん、診療を求めてくれば、拒否はしません。でも麻疹ウイルスなどをクリニックの中に持ち込んだら、どうやって責任をとってくれるのでしょうか。とれませんよね?

ワクチン注射
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4種混合ワクチンをまったく打っていない子が盛んに咳をするので、うちを受診して「百日咳ではないでしょうか?」と聞いてきたこともあります。え? 罹ってもいいと思ってワクチンを打っていないのでは? だったら最初からワクチンを打てばいいのではないでしょうか。

私は以前、保健福祉センターの人に「自分の子どもに予防接種を打たないって、医療ネグレクトとして児童相談所に相談できないんですか」と尋ねたことがあります。現状ではできないそうです。というか、していないそうです。しかし、いつか医療ネグレクトと考えられるようになるかもしれません。ワクチンで防げる病気の中には命に関わるものが多数あります。

それほど、小児医療では予防接種は大事な問題なのです。