議員辞職し、出直し選挙をしておけばよかった
私は1980年代にENA(フランス国立行政学院)に留学していたときに、移民が政治家や公務員に多いことに興味をひかれ研究した。在日韓国・朝鮮人が帰化しても政治家や公務員にあまりならず、一方、気分的には反日的な人が多いのが残念だったからだ。
フランスなどの常識に拠れば、移民系の政治家は、母国と日本が対立したら日本のほうにつくことを明確にし、受け入れ国の文化に対する愛着を示すことが要求されるのだから、日本でもそうあるべきだと1980年代から一貫して言ってきた。
そういった主張もあって、2016年に民進党代表選に立候補した蓮舫氏に注目してきたのだが、彼女は尖閣問題を「領土問題」と表現するといった失言もあったし、日中・日台の問題について積極的に日本の立場に立つという姿勢が感じられなかった。また、文化について華人文化への愛着を語ることは多いが日本に対しては皆無に近かった。
そして、夕刊フジ編集部が私の記事を掲載する前提で蓮舫氏の事務所に台湾籍離脱の年月日を聞いたら、明確な回答が得られなかったので、二重国籍であろうと気づいた。
このとき二重国籍であったことを認め、民進党代表選への立候補を取り下げ、参議院議員を辞職して、次の選挙で出直せば、再出発できたのである。ところが、あいまいなまま代表選を続け、野党第一党の代表になってしまった。
蓮舫氏も悪いが、周りの人間も悪い
その間、台湾籍を離脱し、日本国籍を選択したのち、過去の経緯を説明したが、証拠書類の開示は拒み、1年後になってやっと公開した。しかも、「死んだ父親が台湾籍を抜いてくれたと信じていた」という、いささか無理のある説明をしたのだから、「終わった話」にしてもらえるはずなかった。
その過程で、本人もいけないが、派閥の親分で蓮舫代表のもとで幹事長も務めた野田佳彦元首相など周囲の政治家たちもいけない。民進党内でも厳しい意見が幹部会で出たのに押し切ったし、納得できる説明をするように本人に指導しなかった。また今回も、なぜ二重国籍問題をひきずったまま都知事選に出馬させたのか不思議だ。
ともかく、蓮舫氏も悪いが、そのチームがお粗末だった。法律に反しているのに「二重国籍を批判するのはヘイト的意図がある可能性がある」などと反論したり、「台湾はひとつの中国なので国でなく二重国籍にならない」とか政治的に通るはずがないかたちで擁護したり、蓮舫氏が素直に非を認めるのを邪魔した人も多かった。